獣の様に噛み付いてくるものだから、歯の先が唇に食い込んでビリッと痛みが走った。
ネクタイを掴んだ彼の腕が後ろへ引いて、退こうとするればするほど項を圧迫する。
「はっ、かっ……」
呼吸すら許されず、酸欠から頭の芯が麻痺しだした。
「っ!?」
下腹部に伸びてきた手が無遠慮にスラックスのウエスト部分を掴んで来ると、無理やり下に引き下げようとしてくる。
締まったままのベルトが腸骨に掛かる痛みに顔をしかめると、突然体を反転させられ,
「ぐはっ!?」
鳩尾を膝で蹴り上げられた。
腹から競り上がってくる感覚に激しく咽せ、直後、体が弛緩したと同時にスラックスは下着ごと引きずり下ろされた。
膝上という動きにくい状態で、後ろ髪を掴まれるとそのまま冷たい床に顔を押し付けられた。
その時目を開いてしまったことを後悔した。
「はっ」
息を吸い込むと同時に、ヒュッと喉が鳴った。
その直後全身が震え出しガタガタと歯が小刻みにかちあう音を立てた。
「は、放してくれ……」
「ダメ」
「なっ、あがっ!?」
体が横へ真っ二つに引き裂かれた。
そう思わざるおえない激痛が脳天へと突き抜けた。
閉ざそうとするすぼまりを無理矢理割開き、捩込んで来る熱は引き攣るヒダを容赦なく焼き付ける。
「一体っ、なに……をっ」
「契約、ですよ」
「ひっ、あっ……裂けっ!?」
「アナタが、俺の従僕であるというっ!」
「あ゙ぁぁぁぁっ!?」
下に落ちる際の浮遊感と、上から押さえ付けられる圧迫感。
それらが相まって吐き気が込み上げてくるも、
「い、痛いっ!やめてくれっ!!!」
「アナタが、締め付け、過ぎなんですよっ」
腰を両手でがっちり掴まれ、力任せに穿たれるものだから、柔肉が裂け、生温い体液が内股に滴る。
「あぁ、滑りが良くなってきた……」
「何で、俺がこんなっ……」
今しがた初めて顔を付き合わせたばかりの男に、何の恨みがあるというんだ。
「弟のため」
「っ!?」
「何故自分がって?だってこれは」
――アナタにとっての贖罪だからですよ。