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久々

国試が近づいてきました。早くもプレッシャーに負けそうです\(^o^)/


久々にカタカタして書いてみた79

日記で書いてるのもそのうちサイトにアップしなきゃな(´・ω・)






雨の夜は決まって「ある事」が起こる。


激しい雨音に目が覚める。それと同時に、布団の中の違和感に気がつく。
個人的に雨の夜はあまり好きではない。
しかし、この現象に気づいてからは雨の夜が待ち遠しくなっていた。


前回は心地よい静かな雨音だった。その時も今と同じ様にこんな言葉を掛けた。

「おや…こんばんは、お嬢ちゃん」

「……」


完全に気配を消してアタシの布団に潜り込んでいるお嬢ちゃん。
アタシが体を起こすと、お嬢ちゃんは気だるそうにアタシに跨がってくる。
そのままアタシの肩に両腕を伸ばし、抱きついてきた。
その動きで毛布が捲れたので、身体が冷えてはいけないと思い、お嬢ちゃんの肩にそっと毛布を掛けてやる。


ポンポンと頭を軽く叩いてやれば、まるで人懐こい子猫の様に胸に顔を擦り寄せてくる。


「今日はどうしたんだい?…キュウゾウ。」


静かにお嬢ちゃんの名を呼ぶと、アタシの肩にまわした腕をほどき、キュウゾウが上目がちにこちらをちらりと見た。
やっと目があったと思った瞬間、キュウゾウは瞳を閉じてアタシにもたれ掛かってきた。

少し残念に思いながらも、キュウゾウの体温を感じられることに何とも言えない感情が芽生え、胸が疼く。が、何となく手持ち無沙汰で。
しかし、キュウゾウの端正な顔を間近で見られる良い機会なのでまじまじと眺めることにした。

我が恋人ながら、改めて惚れ惚れする。恐ろしい程に整った顔をしている。
雪のように白い肌
太陽のように輝く髪
血潮のように赤い瞳

…瞳?



「……シチ?」


小さな声でそう呼ばれ、我に返る。いつの間にかキュウゾウは開眼していたようで、不思議そうにアタシを見上げている。


先ほどと同じ様に、アタシの肩に両腕を回して、絞め殺されるかと思うくらいの強さで抱きついてくる。
キュウゾウの力強い抱擁。それはそれで嬉しいのだが、意識が遠退いてきた…。せめて死ぬ前にもう一度、と目の前にある金髪を撫でていると、キュウゾウの両腕から力が抜けた。
不思議に思い、キュウゾウの顔を見ていると、猫がするように唇をペロリと舐め上げられた。


「キュ…キュウゾウ?!」

生娘の様に狼狽えてみたが、キュウゾウがこんなに可愛らしいことをするのは珍しくはない。
アタシと2人きりの時はキュウゾウは結構大胆になる。特に雨の日の夜は。
いつかキュウゾウが言っていた。『雨は嫌いだ』と。他人に弱みを見せないキュウゾウの弱点を見たようで吃驚した反面、キュウゾウに、弱みをさらけ出せる相手だと認識してもらえたということが何より嬉しかったのをよく覚えている。


「キュウゾウ…愛してるよ」


キュウゾウの引き締まった身体を抱き寄せ、耳元でそう囁くと、譫言のようにアタシの名前を口にした。


「シチ……」


先程のお礼と言わんばかりに、キュウゾウの唇に口づけを落とすと急に脱力し、アタシの胸にもたれ掛かってきた。

「キュウゾウ?」


返事はなく、睡魔に負けたキュウゾウの静かな寝息だけが聞こえる。
やれやれ…とキュウゾウを起こさないようにそっと布団へ潜り込む。
アタシの胸のあたりで気持ち良さそうに眠るキュウゾウの髪に口づけを落とすと、キュウゾウはまたアタシの名を呟いた。
――…アタシの夢でも見てるんですかねぇ。

「…なら、アタシの夢にも出てきてくださいね。」

キュウゾウの耳元でそう囁くが、勿論反応はない。
そんなキュウゾウに、次から次に沸き上がる愛しさが爆発しそうなアタシを残し、カンナ村の夜は更けていった。





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