キス、された。
しかも、母さんの恋人に。
「…すまない…。少し、チャンミンにヤキモチ妬いたみたいだ…」
そう言うとサウンさんは俺の上から退くと俺の手を握り起こしてくれた。
ごめんやすまないを繰り返すサウンさんが可笑しくてつい吹き出してしまった。
「っぷは、もう、良いですよ…。すみません。部屋に戻りますね?」
「…あぁ…今日はリビングで仕事してるから何かあったら言いなさい」
「はい」
サウンさんに頭を下げるとリビングを出て階段を上がる。
一段、一段、上がるにつれてほっぺに涙が流れる。
部屋に入るとドアに鍵を掛けベッドに飛び込み枕に顔を埋める。
「うぅ…ん…ファースト、キス…」
男からのキスが嫌なのか、ファーストキスをあんな風に奪われたのが嫌なのか、自分でも分からないけど涙が止まる事はなく枕を濡らし続けた。
「ユンホ!ユンホ!居るのか!ユンホ!」
暫くするとサウンさんがドアをドンドンと叩き叫んでる声が聞こえてきて、ゆっくり身体を起こした。
窓の外は真っ暗で寝ていたのだと気付いた。
目を擦り部屋に電気を点けると大きく背伸びをした。
「…居ます。サウンさん、居ますから」
話しながらドアに近付き鍵を外しドアを開けるとサウンさんが凄い形相で、いきなり力強く抱き締められた。
「ユンホ!呼んでも返事が無いし、ドアは開かないし心配したんだぞ!…はぁ…俺から離れるな…俺が面倒みてやるから…可愛い俺のユンホ…」
「…ごめんなさい…」
強く抱き締められているのに何故かサウンさんからは温かさが感じられず数分の事とは言え、寒さをかんじるぐらいだった。
「あら?何してるの?サウンさん」
弁護士を連れて帰ってきた母さんに見られたけどサウンさんは俺を離さず母さんの方を見て冷たい声で言い放った。
「お前には関係ない。何故帰ってきた?話がつくまで帰ってくるなと言っただろう。今はユンホと大事な話をしている。下に居なさい」
話し終わると俺の身体を離し指を絡ませ手を握ると俺の部屋へと入る。
「ユンホ…愛しいユンホ…。駄目だ。今日は我慢出来そうもない…。ユンホがいけない…心配掛けるから…」
さっきからこの人は何を言っているのだろう?
ベッドに寝かされた俺は何故か上半身を裸にされ、サウンさんに触られていた。
首筋、胸板、腹筋…長い指がスルスルと滑り優しく触れていく。
何?何をしてるの?この人。
この人は誰?
“助けて”なんて声も出なくて、人形みたく感情を消す事で、この時間を乗り切ろうとした。
身体を触るだけ触り満足したのか俺に服を着せていくサウンさん。
「…お母さんには内緒だよ?ユンホが話したら俺は折角手に入れたお前を離さないといけなくなる…。俺に寂しい思いをさせないでくれ…」
口の端を上げて笑いながら話すサウンさんは平然としていて普段から男の子にこんな事をしてるのだろうか、と疑問を抱く。
サウンさんは白いシャツの上から俺の胸を触り胸の中心を摘む。
「綺麗だ…。ユンホ…綺麗すぎる…」
シャツの上から胸の中心を舐められ小さく肩が震えた。
「…いやぁ…」
絞り出した声は余りにもか細く弱々しい物で自分より遥かに大人の男性を止める事は出来なかった。
シャツの胸元はサウンさんの唾液で濡れてしまい小さいシミが出来た。
「…家に居る時は白いシャツだけ着てなさい。いいね?ユンホは白が良く似合うから」
「…………」
コクンと頷いた。
逆らったら駄目なのは分かっていたから。
「お母さんが心配して居る…一緒に下りて安心させような」
俺のほっぺを撫でその流れでほっぺにキスされた。
子供な俺はこの人の言い事、する事に従うしかなかった。