12/10/07 17:07 (:過去)
episode20
文化祭1日目
私は前半に店番だった。
売れ行きは思った以上で、午前分はあっという間に品切れになって時間ができ、麻美と話をしていた。
麻美「この間の話、聞いてくれる?♪」
この間って、寄り道すると言った日のこと?
麻美はなぜだかニヤニヤしている。
七海「にやけちゃって〜!
なになに〜?(笑)」
麻美「あの後、翔は途中で帰って聖と寄り道したんだ〜(ハァト)」
七海「翔帰ったんだ!
よかったね!」
まるで翔を邪魔者のように話してた。
翔がどんな気持ちでいたか知りもしなかったことに、今更罪悪感。
麻美「久々だったなぁ…。」
…………久々?
この間も出かけたって言ってなかったっけ?
それに、寄り道って……寄り道ことでしょ?
昨日の聖くんといい、麻美までわけのわからないことを言ってる。
七海「どこか行ったの?」
すると麻美は言う。
麻美「えっ?聖の家だよ?
当たり前じゃん!」
………はっ?
当たり前なの?
聖くんとはまだ付き合っていないと麻美は言っていたのに…。
まぁ、でも…付き合ってなくても家くらいは行くか。
麻美「…………あっそうか!
七海知らないよね、寄り道のこと。
七海があまりにも馴染み過ぎてるから忘れてた!(笑)」
自己解決していたら、麻美が思いだしたように言った。
麻美「寄り道って、聖の家のことなの。
翔たちがそう言いはじめたんだ。
聖は実家とは別の家に住んでるから、
一人暮らしみたいなものかな?」
七海「…………はぁ。
そうなんだ…。」
つまり麻美は1人暮らしの男の家に1人で上がり込んだ。
そういう行動を寄り道って翔たちが言ってる?
なるほど、そういうことか。
…………って、納得してる場合ではない。
それじゃまるで………ラブホ代わり???
そんなこと言えないけど、そんなことを思った。
七海「一人暮らしって凄いね。
高校生なのに。」
麻美「よくわかんないけど、パパと仲悪いみたいなんだよね。」
七海「…………ほ〜う。
みんな色々あるものね。」
麻美「そううだねぇ…。」
『色々ある』
色々あるんだ…みんなみんな。
みんな色々ある…。
その話を聞いて、なんだか胸が苦しくなった。
麻美「ってか聞いて欲しいのはそれじゃないの!」
七海「なに?」
……とは言ってみたものの、聞きたくなかった。
なんとなくわかっていたから。←
麻美「聖とヤッちゃった♪
久々すぎて幸せだったなぁ…。」
……そんなことだろうと思った。
どうやら麻美たちの話す寄り道とは、聖くんの家でヤルこと。
ホテル代わりは本当だったのか…。
見た目も話し方もチャラい。
やっぱり性格もチャラい?
それならやることもチャラいの?
知り合ってしまったことにショックな気持ちはありつつも、
自分の感じた聖という人は予想通りだと納得してしまう自分もいた。
麻美「うち、後夜祭でコクるってきめたから!」
麻美の話はまだ続く。
七海「まじで!?」
麻美「大丈夫!絶対大丈夫!
緊張するだろうけど、寄り道OKしてくれたし絶対大丈夫!」
ヤれたから、絶対大丈夫?
そんな都合よくいくのかな…。
内心そう思っても、やっぱり言えるわけないけど。
七海「頑張んなよ!
応援してるからさ。」
麻美「ありがとう、七海すきっ!」
七海「当然。(笑)」
うまくいくことに越したことはない。
がんばれって、素直に応援した。
こうして、午前中は麻美の話に驚いたりショックを受けた記憶しかない。
ショックだったのは麻美に対してなのか、それとも聖くんに対してなのか…。
それは未だにわからないけど、この話を聞かなければよかった。
応援するなんて言わなければよかった。
こんなにも後悔することになるとは思わなかったんだ…。
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