「正義はどうなる!!正義を大事とは思わないのか?」

「僕は正義より事実が大事なんだ」

信じ、愛することの根本を歪められた子供たち。親と子の深刻な問題に切り込んだ社会派サスペンス。

今回もウィレム・デフォー出演作を観ました。
98年作品にしてはデフォーたん若…くないですか?そんなこともない?
つーかデフォーたんていくつよ?

ストーリーはすごいですね。デフォーたんこれ、オファー来て嬉しかったろうなぁ…。私が俳優だったら、これに誘われるのはすごく嬉しい。一生誇れることだよ。
ジェームズ・コバーン氏がアカデミー賞助演男優賞を受賞していますが、日本ではマイナーでしょうか。残念です。『スリング・ブレイド』に匹敵する異色の感動作でした。映画でこういう風に観客を泣かせられるものか…。衝撃的でした。

「鏡を見ると男がいた。確かに俺なんだ。でも、俺の見たことのない男なんだ」

「自分の体を見ると、それが自分のものだってわからないんだ」

ウェイト(ニック・ノルティ)のこの言葉を聞いていて、PTSDの症状を思い出しました。自分の見ているものが現実のような気がしない、自分が自分のしていることを少し離れたところから見ているような気がする。テレビで見ただけですが、ウェイトもこれに近い症状を抱えていたのかな…。

「いや、噛んだことはない。ちょっと唸っただけさ。噛んじゃいない」

噛まなかったから、こうなったのかも。

この映画を見て、とても感銘を受けて、私は児童虐待についていくつかのホームページを見てみました。そしてとても、辛くなりました。
自分が自分の望むように人を愛せないと気付いたとき、人はどうなるんだろう?
具体的な何かじゃなく、すべてが不満な人はどうしたら、彼らの望むような家庭を手に入れることができますか?
私には少しもわかりませんでした。私には全然、わかりませんでした。そういう人に会ったとき、私に何ができるのかもわかりませんでした。

もうすぐ2008年も終わりますが、今年を象徴するものとして“無差別殺人”が多くメディアに取り上げられています。
私はこれらの事件を知ったとき、これは無差別殺人に限ったことではないんですけど、加害者は誰かに与えようとした傷と同じくらい傷付いてるんじゃないかと思いました。何か根拠があるわけじゃなくて、漠然とだけど…。
そしてこの映画を通じて、少なからずそういったことはあると知りました。被害者だった人が加害者になる。そしてそのことに胸を痛めて、悲しんでいる。
児童虐待があると、世間は親を悪者のように言います。でももしかしたら、その親にも私たちの知らない、自分では扱いきれない痛みがあるのかも。
だからと言って犯罪を肯定はできない。…だけど、彼らを責める気にもなりませんでした。

悲しい映画だったけど…、見て良かった。有意義な2時間でした。原作の小説もあるようなので、そちらも読みたいです。
今回は吹き替えで見ましたが、時間があれば字幕で鑑賞したい。すごくいい映画だった。