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第六ポンプ


『ねじまき少女』のパオロ・バチガルピの短編集
どうして図書館でこの本を手にとったのかわからないのですが、とにかく読んでみたらかなり面白くて本屋で買い直しを考えるくらいに入れ込んだ本になりました。
思うに、欧米のスタイリッシュな文章で、アジアの神秘的を描いているので、両者のいいところどりなんですよね。



ポケットの中の法
ダライ・マラの性質を知ってはじめて面白さがわかる作品ではないかと。ちなみに私もそこらへんの知識が曖昧だったので、ウィキペディアにお世話になりました。

フルーテッド・ガールズ
絶望とエロスが絶妙に合わさっています。

砂と灰の人々
深い。ものすごい深い話で、私は読んだあとしばらくぐるぐる考えが止まりませんでした。他の方のレビューで、不老不死になった人間の感性が描かれていると書かれてあって、まさにそのとおりだなぁと。性善的な優しさってなんだろう。

パショ
現実世界のニュースを彷彿とさせるなぁと思っていたら、訳者あとがきのなかでグローバリズムを底辺においていると書かれてあるとのこと。人命を落とす悲しいニュースがあったせいか、これも考えさせられました。

カロリーマン
『ねじまき少女』と同じ世界観で描かれた作品。素直におもしろかったです。

タマリスク・ハンター
水不足であえぐ世界で、絶望に瀕している主人公。水の不足ってのがパオロ・バチガルピらしい。

ポップ隊
ディストピアもの。だんだんと世界観がわかってくるときのぞくぞく感。たまらない。

イエローカードマン
『ねじまき少女』と同世界観。笑い屋チャンの話かと思ったら、ホク・センのモデルになったキャラだそうで。生き様が切ない。前作を読んでいるからこそ存分に楽しめました。

やわらかく
妻を殺した夫の話なのですが、あーわかるーっていう感情の言い回しが多々あって、決して他人事のようには読めなかったです。月並みだけど、深い作品。

第六ポンプ
表題作。退廃していく人間性と、その中で理性を保っている人間。ふたつの対比が非常に素敵だった。

特に好きだったのは、砂と灰の人々とパショ、第六ポンプ。

瞬きよりも速く


レイ・ブラッドベリの短編集、素敵でした・・・



帯には
「その幻想は美しく、ときに恐ろしい
 メランコリイの魔術師が魅せる悪夢たち」
と書かれているのですが、まさにこの言葉通り。
あまりに感動したので、一話ずつ簡単な感想をば。

Uボート・ドクター
登場人物の心理が全く読めないにもかかわらず余韻だけは必ず残す。
レイ・ブラッドベリらしさ全開の作品でした。

ザハロフ/リヒタースケールV
発想が面白い。あとがきでこの話ができる経緯を著者自身が説明してくれるのですが、腹を抱えて笑いました。

忘れじのサーシャ
サーシャの的確な言葉が胸に刺さります。優しい物語には思えなかったな。

またこのざまだ
こういう発想をさらりと書いて人に影響を与えるのはすごい。

電気椅子
アダルトな雰囲気でした。唯一なんだこれ?と思った作品。

石蹴り遊び
すごく瑞々しい若い男女のやりとりでした。レイ・ブラッドベリにテーマ恋愛を求めていなかったけど、すごく綺麗な話になっていて、本当に多才だなぁと。

フィネガン
英ドラマ「SHERLOCK」のシャーロックとジョンを彷彿とさせるキャラでした。そう重ねて読んでしまったせいか、悲しくて泣きそうになりました。大好きな話。

芝生で泣いている女
切ない話だと感じました。こういうどうにもならない話はやきもきしてああああってなります。

優雅な殺人者
結果から推測できる固定概念をまるまるっと覆してしまう話。星新一らしくて面白い。好きな話。

瞬きよりも速く
表題作にもかかわらず、電気椅子と並んでよく意味がわからなかった話。私には難しい。

究極のドリアン
本文のインパクトもさながら、本文の終わった後にむけて「ど、どうなったの!?」と叫びたくなる作品。ここまでその後が気になる短編はなかなかない。

何事もなし、あるいは、何が犬を殺したのか
最後のオチ的な部分で思わず笑ってしまった。憎めない話。

魔女の扉
背筋が冷たくなる不気味な話。これまた星新一っぽい捻られた作品。

機械のなかの幽霊
自転車のことなのだろうけど、こんなふうに発明されているのかと思うと笑いがこみ上げてきます。

九年目の終わりに
なるほどーー!そういう考え方もあるのね!そしてまたまたそういう切り返しもあるのね!と、ひとり感心させられました。

バッグ
「うん、よかったね」

レガードでもう一度
なんかよくわからないけど、最後に安心感がどっと溢れた作品。

交歓
何十年経ったあとで自分を救ってくれるのは、親しかった友達でもなくて、なんでもない人だったりするのかと。

無料の土
これも先が気になる作品です。土をもらいにきた男の正体も気になる。

最後の秘跡
こういう使い方もあるんだなぁとレイ・ブラッドベリに慄きました。『華氏415度』でも感じたのだけど、著者は文学作品が好きなんですよね。尊敬して著書に引用はしても、嘲りのためだけに引用したりはしないし、何より知識が豊富。最近、日本文豪の生き様と作品に興味をひかれていたので、なんとなく親近感を覚えました。

失われた街道
星新一っぽいけど、星新一だったら救いがたい話になっていたところをレイ・ブラッドベリならではの情緒あふれる作品に仕上がってます。なんだかんだお気に入りの話。

レイ・ブラッドベリ自身によるあとがきも、本編に負けず面白いので必読です!

本屋で探してみると、早川書房以外にもレイ・ブラッドベリの本が出版されているんですね。早速二冊買ってしまいました。海外作家は翻訳ぶんもあって値段がかさむのですが、ただただレイ・ブラッドベリを読みたいがために1冊千円も出しました(>_<)楽しみ!

ジエンドオブザワールド


ズッコケ三人組を書いたひょうきんそうな著者が、シュールな短編集を書いていると知って、興味を惹かれて買ったもの。
毎夜一話ずつ読んでました。



表題作が一番好きです。
シュールな短編集好きなんですが、やっぱり星新一は神だし、レイ・ブラッドベリは別格だなぁと思いました。

虎よ、虎よ!


名作SFのランキングで必ず上位に登場する『虎よ、虎よ!』
是非とも一読したいと思って、だいぶ前に購入しておいたんですよね。



ストーリーの精緻さとか余韻とかはさておき、場面と登場人物たちがコロコロ変わっていく様は、読んでいて飽きさせないですね。会話文も地の文も私の好きな感じだったので、わりとさっくと読めました。
過去の出来事による復讐を下敷きにしているのですが、最後に明かされた真実が一番わくわくしましたね。あと、登場人物!大好き!っていうほどではないけれど、好感が持てるキャラクターばかりでした。
話としてはどうなんでしょう。私の乏しい感性では、可もなく不可もなく・・・という感じでした。話の魅せ方は本当に一流だと思います。

となりの美男


少し前のことですが、妹がレンタルしてきた韓国ドラマを視聴しました。




過去の裏切りから、自宅に引きこもって仕事をする主人公のもとに、社交的でやんちゃな年下の男が現れて、なんとか外の世界に連れ出そうとする、というまことにありふれたストーリーではあるのですが、これがなっかなか面白かったです。

まず第一に、ここでヒーロー参上!ってオチだろうという私の下衆な推測をことごとく裏切ってくれる。ゆえにヒロインのピンチに駆けつることのできないヒーローなので、すれ違いも多いのだけれど、でもだからこそお互いを求める気持ちの強さがわかるんですよね。危機を救ってくれるヒーローに惚れるっていうのは当たり前だけど、普段は口喧嘩する相手なのに、窮地の時にすがってしまう。切ない!そういう見せ方もあるんだなぁと感心してしまいました。

あと、個人の成長やあ恋の過程といった物語の精度もさすがでした。最終回は、最初の回を思い出させる面白い展開でした。

そして、告白の言葉も素敵。あなたは私の世界。だからいつも晴れた素晴らしい日ばかりじゃない。天気の悪い日だってあるけど、何があっても世界は続いて終わらないの。二人の世界は素敵なことばかりという嘘っぽい愛の告白に比べて、なんて現実的で真実味を帯びた言葉なんでしょうか。

あとは茶髪パーマが印象的なヒーローが、一年後のシーンでストレート黒髪に華麗な変化していたところも、激しくときめきました。

私が評価するのもおこがましいですが、レベルの高い恋愛ドラマだったなぁと思います(´∀`)
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