言い訳どころではない。
俺は頭の中が真っ白になって、ただただ、
口をあんぐり開けているしかなかった。
友人も言葉が浮かばないらしく、
こちらを向かずに、俺の脚の方を見つめたまま動かない。
かえって、見られていると言う気恥ずかしさに
「……っ」
余計反応してしまい、
余計酷くなる。
ふと、潮の香りがした。
視線だけを障子に向けると、
半分ほど開いており、
窓も同じぐらい開けられていた。
丁度満月がその枠に納まって
青白い光を部屋へ注ぎ込んでいた。
視線を戻すと丁度友人の黒髪が目に入った。
『やぁっ!!もっと!!』
あの時と同じ、黒い髪。
「……」
あの時と違う、香り。
本能的な生々しいそれとは違った。
「え……」
オードレ・シトラス。
「もう、いっぺん抜くもんヌけ」
「なっ!?」
浴衣の合わせから滑り込んできた指先の感触に
思わず腰が引けたが
「あ、まっ……」
もう片腕で背中を支えられていたので
逃げるに逃げれず、
「やめっ、にぎ、る」
「黙れって。
早くおわんねぇだろ」
下着から抜き出された欲を軽く握りこまれて、
顔をしかめるしかなかった。
既に先走りが伝っていたそれに
指を絡められ、
ゴツゴツした感触が
幹を上下に動いて軽く扱き上げる。
俺はそのリズムが早くなるにつれ息も上がり、
「はっ、くっ……」
必死に閉じようとしていた脚も、
だらしなく開き、その刺激を受け入れた。
遠くから、波の音が聞こえる。
俺はそれに意識を集中させた。
早くこの粟立つほどの快感を終わらせたくて。
「しっかし、立派なもんだねぇ」
「だま、れっ……」
「しっかり硬くして何言うかねこの人はっ」
「くっ!」
先端の窪みに爪を立てられ背をそらす。
そしてヤワヤワとカリをもみしだかれ、
裏筋をなぞられ、
そしてまた、激しく濡れた音を立てる様に追い上げる。
やはりここは同性だからだろうか、
感じる所は同じなのかもしれない。
もう少しで絶頂を迎える。
だが、今ひとつ、何かに欠ける。
俺はこのまま好きにされているのも
なんだか癪だったので、
「……」
友人の背にそっと手を伸ばして、
「え、」
背骨に沿ってすっと指を滑らせると、
「ひゃっ!?」
その刺激に感じ、甲高い声をあげる友人。
それが
『あぁぁっ!!?』
先刻の情事を思い起こさせて、
「くっ!?」
ドクンッと、濃い欲望を放ち、
「あっ……」
その飛沫が友人の顔にかかってしまった。