話題:眠れない夜

隣で主人が熟睡し、中年男性が発するようなイビキをかく愛犬。
私は無言で首を振り続ける扇風機とオンボロなエアコンが、止まるのをただただ待っている。

妊娠後期になり、寝苦しいのは相変わらずのまま夜明けを待つのはなんとも淋しい。
布団に横たわり五分も経たずに眠りに落ちる主人が憎たらしい。
でも、子供のように無防備な、あどけない寝顔を見ると自然と頬が緩む。

始めての妊娠で右も左も分からず、頼る人も居ない状況で、私も主人も困惑しているし、主人は私の理不尽な文句にたいしても懸命に向き合ってくれている。
こんなに素晴らしい人と巡り合えたのは、本当に奇跡なんだと思う。

無愛想で人見知りの激しい私に、唯一可愛いと褒めてくれる主人。
家事もせず、ゴロゴロしている私にゆっくりやろうと労わってくれる主人。
好きだよと言えば嬉しそうにニヤける主人。
この人と結婚できた事は、私の人生の中で一番嬉しかった事。
妊娠した時も黙って役所から婚姻届を貰ってきた主人。
子供を産んで欲しいと言ってくれた。
悪阻が酷くて、主人の目の前で嘔吐した私に泣かないでと言って背中を摩ってくれた主人。
部屋がどんなに嘔吐物の臭いがしようと、私を一切責めなかった。
仕方ないよと主人が片付けてくれた。
お腹が目立つ前からケアクリームを毎晩丁寧に塗ってくれた。
おかげで、9ヶ月に入っても妊娠線はそんなに目立ちません。
葉酸の入ったサプリや卵をたくさん買って来てくれたり、なんでもかんでも私を第一に考えてくれる主人。

本当にありがとう。

こんな私と結婚してくれて。
こんな私をお嫁さんだと家族に紹介してくれて。
私は可愛くもないし、美人でもない。
学があるわけでも、特技があるわけでもない。
その日その日をただ生きていた私に、主人は頑張ってると褒めてくれた。
私を認めてくれた。
それだけで満足なのに、主人は私を必要としてくれた。

ありがとう。
本当に大好き。


寝相が悪くても、寝言が五月蝿くても、太ろうがハゲようが私の大切な伴侶には変わらない。
本当に大切な人。
私の人生に欠かせない、大切な人。
それはこれからも変わらない。
ずっと、ずっと。




眠れない夜は、穏やかな顔で眠る主人に寄り添い、内緒に甘える晩でもある。