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駄文。

前に考えてたお話をさらしてみます。初めてのことなんでかなり恥ずかしいんですが……。あんまり文章力がないんですよね…。

とりあえず激しく駄文の上死ネタです(爆)
それでも大丈夫な方はよろしければ見てやって下さい。


旅終了後の三蔵と悟空のお話。

タイトル思いつきませんでした……。







きっとまた巡り逢える


大丈夫


ちゃんと見つけるから



約束するから








西への旅を終えてから随分と時間が経った。俺は三蔵と慶雲院に戻り、旅を始める前と同じように生活していた。八戒と悟浄も結局一つ屋根の下で暮らしている。

なんだかんだで仲良いよなぁ、とくすりと笑っていると


「……何笑ってんだ」

少し掠れた俺の大好きな声が聞こえた。



「三蔵。今日は調子がいいの?」
駆け寄ってその痩せた体を支えながら尋ねる。


「…あぁ」

「そっか。今日はすごく天気もいいから外に出てみる?……桜ももう満開だよ」

「……そうだな」

三蔵は優しく穏やかな声でそう応え、皺の増えた手でそっと俺の頭を撫でてくれた。





寺院に戻ってきてから、どれだけの季節を三蔵と一緒に過ごしただろう。

二人で重ねた年月は全てが大切で俺にとってかけがえのない宝物だ。

ずっとこのまま続けばいいのに……

何度も願った。


叶わないと知っていたけれど…。


積み重ねた時間の分思い出が増えていくことに体が震えるほどの幸せを感じ、それと同時に残された時間が確実に少なくなっていることに絶望を感じた。



時の流れはゆっくりと、だが確実に三蔵の上に降り積もっていく。




俺一人を置き去りにして。





三蔵は老いた。それは生きていれば当たり前のこと。自然の摂理に抗うことなどできはしない。



日を追う毎に以前のような見るものを圧倒する鋭さや激しさは無くなり、逆に消えていきそうな程に儚い空気を纏うようになった三蔵。




ただ一つ変わらないのはきらきらと輝く金糸と、老いて尚その力を失わない紫暗の瞳だった。


それだけが、不安でしかたなかった俺を安心させた。



三蔵と二人、ゆっくりと時間を掛け寺院の庭に咲いている桜の下までやってきた。本当は裏山の方にもっと綺麗な場所があったけれど、三蔵に無理はさせたくないかった。



桜の木の根元に腰を下ろし、薄紅色の花びらをはらはらと散らしている桜を見上げる。

「な、綺麗だろ?」

「……あぁ……綺麗だ」




ふいに三蔵が体を傾けてきたから、体調が悪くなったのかと思ってかなり焦った。

「三蔵っ!!」


血の気が引いて真っ青になった俺を気にすることなく三蔵はそのまま頭を俺の膝に預け、膝枕、とつぶいやいた。

「……そんな顔すんな」


よっぽど酷い顔をしていたんだと三蔵に言われて気付く。

「……さんぞ」



「……連れて行きたく…なるだろうが」


「…ッ」


我慢などできるはずもなかった。


俺が今まで必死に積み上げてきた物はあっさりと崩れ、置いていかれる寂しさとかどうすることもできない悔しさとかが一気に溢れ出した。



「泣くな…悟空」

そういって三蔵は俺の頬に流れる涙をそっと拭ってくれた。


俺はその手を握り締めじっと三蔵を見つめる。



そして気付いた。もうその時が来たのだと……。


「…っさんぞ」

次第に弱くなっていく呼吸、それにも関わらず三蔵は俺に話し掛けた。

「……お前は……いつも笑ってろ」

そう言って微笑んだ。

それが三蔵の最後の願いならば、叶えてやらない訳にはいかなかった。


零れ落ちる涙を一度自分の腕で拭って、俺は笑った。上手く笑えている自信はなかったけど、それでも笑わずにはいられなかった。どんなことでも三蔵の願いは叶えてあげたかったから。

俺の顔を見た三蔵は安心したように目を細め、


「………また俺は……お前を置いて…いくんだな……」

「三蔵?」

その言葉に微かな違和感を感じたものの、そんな事を気にする余裕は俺にはなくて。ただ三蔵の言葉を、その姿を少しでも覚えおきたくて必死だった。



「……今…度は……お前…が俺を…見付けろ…絶対に」


その言葉を聞いて俺は更に涙を零した。嬉しかった。また、一緒にいることを望んでくれるのだと。

「うんっ……絶対見つけるから…約束するから」


俺の言葉を聞いて安心したように三蔵は目を閉じた。

その時ざぁっと風が吹いて頭上に咲いていた桜の花びらを散らした。

まるで雪のように降ってくる花びらに包まれて、


三蔵は




その生涯を終えた。















三蔵の葬儀が済んでから、俺はすぐに寺院を出た。

寺院を出る際、思いがけない嬉しいことがあった。何だかんだで長い間いた場所だったからか、最高僧である三蔵が俺を大切にしていたからか(後者の方が大きいと思うけど)、俺を引き留める僧達がいたことだ。
昔は妖怪である俺が寺院に、ましてや三蔵の傍にいることに嫌悪していたというのに…。
旅から帰ってきてからも最初は以前と大して変わらない扱いを受けていたように思う。辛くないわけではなかったが三蔵の傍に居られるのなら、俺にとってはそんなことはちっぽけな問題だった。

それが一年また一年と年を重ねる毎に、僅かではあったが僧達の態度が変わってきた。
偏に三蔵のおかげだと思う。彼がここまで自分を大切に扱ってくれなければ、こんな風にはなっていなかった。




人って変わるもんだよなぁ、と思い出し笑いを浮かべ今まで住んでいた寺院に別れを告げた。







「まずは悟浄と八戒に久しぶり逢いに行ってみるかな」

三蔵が死んだことを二人は知っている。きっと自分のことを心配しているはずだ。だから大丈夫だって安心させてあげたい。






その後は、とりあえずいろんな世界を見てみたい。あの西への旅で自分はたくさんの経験をした。そしてその経験は自分を大きく成長させた。


今度は一人でそんな旅がしたいと少し前から考えいたのだ。


だから三蔵の死を機に旅に出ることにした。


寂しくない訳じゃない、だけど約束したから…。


必ず見つけるって。




三蔵待っててね。



きっとすぐ逢える。



だって俺達は



こんなにも繋がってる。




早く見つけろよ、悟空。




三蔵の声が聞こえた気がした。






END
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