話題:恋愛

僕が大好きなみやくんについてちょっと語ってみよう。あ、惚気じゃないよ。惚気じゃあないから断じて。惚気に聞こえちゃ悪いですが。

同棲を初めて二ヶ月くらい経った頃だったかな。
珍しくバカみたいに酔っ払ったみやくんは子どもみたいに僕に抱きついて離れないことがあった。

「いまこうしていることが夢みたいだから、朝目が覚めて、ハルを起こしにいくまで不安なんだよね。で、アホ面して寝てる姿を見てホッとしてんの」

小説の一文みたいだなってその時は確か思ってさあ。何も言えなかった。ただ頷いて、みやの言葉を聞いていて、いつもならあんまり好まない人の体温とかも感じなくてただただ不思議な気持ちでいたな。それでちょっと僕はこわくなってしまったりしたりして。

「 俺ね、実はいまも不安でしょうがない」

悪夢でも見ているみたいに言って

「一緒に暮らして、そんで、ハルが俺なしじゃ生きられなくなればいいって割と本気で思ってるよ」

って言うから言葉に詰まった。さすがにそんとき。
だから最初の頃、なんでも自分でしようとしてたのかって。今でこそ役割決めて飯作ったり洗濯したりいろいろしてるけど、前はすごくやりたがってた。
僕、そのときなんて答えたのか覚えてなくて、みやも忘れてるっぽくてさ。

でも今ならどう答えるだろう。
僕はやっぱりダメな人間だから、かっこいい真面目なこと言ってあげられない。共依存だとか言われても、みやも僕なしじゃダメになってほしいよ。
いつか壊れるかもしれない。これがふたりを苛むものになるかもしれない。けど、いいんだよ。好きって厄介だから。人生一度きりだから。そこが不幸の極地であっても地獄であっても、互いがいればそれだけでいいんだわ。

いつかちゃんと言えるように。
手遅れになる前に。