ポケモソクリアしたので書いてみました。
観覧車ネタで、N←黒のSSです。
と、言ってもN出てきません。そしてチェレンたんとの会話ばっかり。
そして、主人公君が「はい」と「いいえ」しか言わない良い子ちゃんじゃありません。口が悪いです。
「なぁなぁ、チェレン君。俺と観覧車に乗ってくれないか」
「…はぁ?どうして君と乗らないといけないのさ」
メンドーだな、が口癖の彼は溜め息をつくと、不審そうな目で見てきた。
「一人で乗る観覧車ほど寂しいもんはないぜ?」
なぁ行こうぜ、とチェレンの腕を引っ張れば振りほどかれる。
「近くにトレーナーだっているだろう?何が楽しくて男同士で…」
「いやー…まあ、そうなんだけど」
どうしても俺と乗るのは嫌なようで、でも、何故に俺がこんなにも観覧車に乗りたがっているのかには突っ込まなかった。
それはきっと、彼がメンドー臭がり屋だからだ。
観覧車に乗ろうが乗るまいが、そんなの人の勝手だって考えだろう。
ただ、それに自分を巻き込むなっていう。
…まったくもってクールな幼なじみなもんだ。人生のたった30分くらい、娯楽に付き合ってくれても良いじゃないか。それが例え、野郎同士のむさ苦しいものでも。
「…やっぱりいいわ。ポケモン達と乗ってりゃ寂しくねぇし」
「…そうかい。そう言ってくれるとありがたいよ」
チェレンはほっとしたようで、そのまま足早にその場から立ち去った。
俺がノンケだってくっちまうような男に見えただとか、そんなんじゃなくて。
多分、あいつにはやりたい事が沢山あるから、自然とはや歩きになってるんだと思う。
俺がこんな性格なのは、昔っから変わってないから。
はぁ、と溜め息をついてから、俺は観覧車に乗り込んだ。
ゆっくりと、空に近づいていく。
…あの時、あの人と見た、あの風景に。
「…やっぱり一人で乗るもんじゃねぇよなぁ…」
窓ガラスに自分の顔が映る。その表情はなんとも情けないもので、俺の気持ちを一層陰らせた。
考えてみたら。
俺とあの人…Nが、戦う以外に一緒にいた空間は、此処しか無かった。
だからこそ、俺にとってここは大切な場所で。
でも、あの人が楽しそうに笑ってた顔を思い出すと胸が苦しくなる。
「…どこにいるんだろうな」
同じ空の下にいるのかな、なんて。
臭いセリフを呟いて、空を見上げてみた。
終わり