口ずさむ歌が風に乗って遠くまで旅に出た
私も歌と風と共に町に行こう
貴方そこにいるのだから
やっぱりドキドキする
イタリアだからかな?日常会話くらいなら話せるだけれども
約束の時間までまだまだ余裕があるためゆっくりできる
「…カメラ持ってくれば良かったな」
一人言を呟けば、イタリアの空気に日本語が呪文のように響いた
歌いながら歩く
歩幅を大きく
ペースをゆっくり
「成長しないね、姫は」
耳に届いた声に驚き後ろに振り返る
「やぁ」
黒いスーツ、鋭い目付き
どうみてもマフィア
日本人の私から見たら怪しい人
「約束の時間まだ先だよ?」
「うん、でも到着時間で…」
「怒らないの?恭弥」
「何がだい?」
「ボンゴレ屋敷の場所知ってたんだよ?一番に恭弥に会いにいけたんだよ」
「そうだね」
少し離れた場所にいる
―恭弥に触れたい―
離れた距離を縮めるのは私
貴方が待っていてくれるから
「3年……結構、あっといよ間だった」
手を伸ばし、恭弥の手を握る
「恭弥が並森からいなくなって、ツナくん達とイタリア行っちゃって…」
優しく抱きしめられる
恭弥の心臓の音
体温
体格良くなったね
「恥ずかしがらないね」
「うん、とっても会いたかったの」
「やけに素直だね」
「…ふふ、そうだ!ツナくん達元気してる?」
「…綱吉達なら元気だよ、相変わらずうるさい…」
「挨拶しに行かなきゃ、ね。」
恭弥の腕の中から離れて
手を繋いで歩き出す
私と恭弥の会話が旅に出た
歌も、声も、記憶も遠くに行く
私の帰る所は1つだけなの
イタリアでもなく
日本でもなく
貴方のなか
ただいま、恭弥
end
心臓が尋常じゃないくらい早く動く、冷や汗が流れる
無理矢理目の前の仕事に集中しようと必死だ
(帰ってくるのは2、3日かかる…はずっ……長期任務だから予定通りに進まない…といいなっ)
「ガチャッ」と扉の開く音に大きく反応してしまう
「つ、綱吉様!」
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。恭弥ならまだ仕事だって。」
「あ…そんな、つもりでは…」
「はは、すぐ許してくれるよ。きっと」
「……だと良いんですが」
微小していた綱吉様が急に部屋を出て行こうとする
「綱吉様?」
「姫……帰って来たみたいだよ…」
わっつ?
綱吉様はそれだけ言うとさっさと行ってしまった
「え?…え、え、あっーーー(助けてくれないんですかー!?)」
部屋の中をぐるぐると歩き回る
止まってなどいれないっ!隠れないと大変なことにっ!!
「何してるの、姫」
「っ…………」
「ただいま」
「オカエリナサイマセ」
「で、何を隠してるの?僕に」
「ど、ど、ど、読心術、つ、使わないでくださいっ」
「…じゃあ、早く喋りなよ」
接近してくる雲雀から逃げようと、窓にゆっくり近づいて行く
「ほ、報告書を提出するため、今日はこの辺でっ」
「…逃げたら、足腰使えなくなるよ?」
「!わかりましたっ!逃げませんからっ、トンファーで打たないでください」
「何言ってるの?トンファーは姫の下の口にぶh「ははははは話を戻しましょぉぉぉかぁぁ!!」
「うん」
うん、じゃねぇよ!セクハラかよ!ふざけんなよっ
何当たり前みたいな顔してんなよっ!
ふーふーふーはぁー
「え、と…まず怒らないと約束してくれます?」
「……」
だまんなよっ!どうせセクハラだろ、あ?
「ひ、雲雀さま?」
「…上目遣いで頼み事かい?誘いかたが上手になったね。良いよ、ベットに行こうか」
「…日本語分かりますか?」
「姫が僕とヤりたい事は分かった」
「分かってねぇよ!分かったのは雲雀様の頭に味噌すら詰まってねぇこったよ!!ふざけんなよっ!」
「…まぁ話はゆっくり聞くよ。たっぷり、じっくりベットの上で」
「だぁーーーー!雲雀様が大事にしてたボトルがこっぱ微塵になりまして、BOXに落書きなかんされちゃったりしてました!はは、ざまーみっ…報告しました。さようなら、永遠に」
風のこどく逃げたした私の身体、のはずが乙女の弱点、二の腕がつかまれて…えっ
「…トンファーぶちこむ!」
end
いつも不思議だった
あんなに小さい、体から大量で色とりどりの音が出せるのか
癒しをもたらす優しいメロディ
文化を持たないバジュラまでもが聞き惚れた声だ
何でランカはあんなにも歌うのだろう
そして、オレは空に焦れたのだろう
理由などあっても無くても止められる事など出来はしないのだ
「アルトくん」
今の今まで光っていた画面が真っ暗になり、アルトは何気なく返事を返す
「何だ?」
「…今テレビ消した?」
「いいや」
「そっか。あ、珈琲と緑茶どっちが良い?」
「緑茶」
「分かった」
にっこりと笑顔を見せて、キッチンにきびきを返したランカを確認すると一つ息をついた
もちろんテレビはついていた。アルトが故意に切ったのだ
教育によろしくない番組が写っていた訳では決してない、ランカのライブ特集番組を観ていたのだ。
隠す理由、それはただ単にアルトが恥ずかしかったからである。
まさか自分の嫁が出演している番組を観ていたとバレたら……いや、ランカは喜ぶだろう。アルト自身も大いに応援していたし、ランカの歌が大好きなのだ
だが、それとこれとでは話が違う
ミハエルに知られたらとんでもない。前に一度「あ!ランカちゃんの水着が!」と聞こえて来て思い切り振り返ってしまったのだ。ランカなど出演すらしていなかった、後はミハエルの考えいた通りで、クランにもルカにも笑われた。その場にいなかったはずのオズマが急に現れたことは言うまでも無く……
「アルトくん。はい」
「あ、あぁ…」
思いふっけていたアルトを現実に戻したランカから受け取った熱いお茶を喉に流していた時、ある事に気が付いた
「ランカ」
「ん?」
お茶をふーふーしていたランカの視線がアルトに移る
「また、くん付けるぞ」
「あっ!」
「家族なんだから、その呼び方はおかしいだろ」
「そ、そうだよねっ…」
「…………」
「…………」
はてさて、どうしたものか。また知恵熱でも起こして倒れられたら……
考え込んでいるアルトの耳が小さいな、大好きな音を拾った
「………ァ、アルト……」
「!!」
真っ赤になっているランカ。数えきれない程見てきた表情だが、何回見ても可愛くて仕方ない。アルトはきゅんと心臓が鳴っているが可愛いと言う単語が浮かん来ない。己で認識出来ていない。よほどのバカップルである
「ランカ…」
熱っぽく呼べば相手も自然と先ほどより頬を赤くした
甘く暖かい空気が2人を包む、アルトの手がランカの首の後ろにゆっくりと動いた
「きらっ☆流星にまたがって」
馴染み深いメロディが予想外に流れて来たため、しばしの沈黙が訪れた
「これ、あたしの…」
「こ、この前のっライブかっ!」
隠そうとしても駄目ですよ。アルトくん。声裏返ってますからね。しかもしっかりと画面右上端に「録画中」って表示されてるんですからっ☆
END