本にラインを入れるため蛍光ペンが欲しくなって家中探したのですが……
何で探してるときに限って一本も出てこないんだこの野郎、
仕方なく寒空の下近くのスーパーまで徒歩で買いに行きました。
家に帰って、着替えて、ルンルンと辺りを見回すと
あれ……、蛍光ペンが無い。
買って十分たたずにまさかの喪失……!orz
オレンジ色……(泣)
日溜まり、縁側、梅の花。
しろい、しろい、梅の花。
――――…梵、――――
柔らかい声だった。
甲高い金切り音や、重苦しい重低音で喧しくわめく周りの“大人”とは違う。
襖の影からその姿を覗き見ていた己に、梵おいで、と。
白い手で招かれ、柔らかな甘い空気の幕に包み込まれ、ほわりと微笑まれるだけで、しあわせになれた。
「今年も梅が豊作ですよ、政宗様」
「AHー…、ぉお、大したモンじゃねぇか」
「やったね〜!!
梅酒に梅干し、羊羮に梅昆布茶〜!!」
「成実……食いモンしか頭にねぇのか」
「硬いこと言うなよ小十郎!」
忘れ形見のような梅達は、主を悼んでいるかのごとく、毎年毎年花を咲かせ、実を付ける。
季節が一つ、また一つと流れる中、変わること無く廻る花。
笊に盛られた青梅に、柔らかな声を聞いた気がした。
―――…梵、梵…梵天丸、
風邪引かないでね、元気でいてね、こんな物しかあげられないけど、
「どした、梵?」
「…梵って呼ぶんじゃねえよ、ナルミ」
「し げ ざ ね!!」
懐かしさから逃げられず、わざとらしく発音を間違える自分も、間違われた相手が満更じゃないのも、きっと…―――
だいすきだよ、梵天丸
「だいすきだぜ、Haney」
「空に“きす”とか……変な梵、」
(妄想でもなく、予想でもなく)(きっと、又会える)(これは、確信だ)