母の死から数年がたち、湛快も齢17を向かえる頃には悲劇の誕生とも言える赤子は三つになるだろうか。
あの後、父の計らいで赤子は早急に処置をしてから邸から離れた場所で育てていると聞いた事がある。
正直、思い出したくも無い過去であったので父には感謝した。
暫くは眠れぬ夜が続き、理不尽な死に対してか、己の無力さからか、悔しくて涙を流す日もあった。
それからは何をするのにも精が出ず、覇気の無い溜め息を溢すばかりだった…。
だが、今はどうだろう?時の流れとは無情なもので悲しみさえも薄れさせていき、今では涙さえ流す事も無くなった。
記憶が曖昧になっていく中、まさか、今になって災難が待っていたとは知る筈も無かった。
夜分、不意に目が冴えて眠りにつけずに寝室を後にする。
まだ、寒さの残る2月の上旬。流石に羽織一枚だけでは冬の名残を凌ぐ事は出来ず肩に強張る。
「…ここって確か、」
ふと、縁の先に佇むこじんまりとした蔵が目に入った。
自身が住まう邸の中で忘れられたようなソレは踏み入れてはいけないような直感的な何かを感じながらも、気がつけば門の前まで来てしまった。
外側から簡単に掛けられている錠を外し、鉄の錆びた嫌な音を響かせゆっくりと開くと
申し訳程度に灯されかろうじて床下が見える位の薄暗い部屋一面の片隅に小さな影を見つける。
二歩、三歩と歩み寄ると人影だと認識する事が出来た。
こんな暗闇に人がいるなど、この世の物ではないのでは、と考えがよぎったが
どうやら違うらしい
「……だれですか?」
耳に響く独特の高い声が問いかけたのだ。
顔つきまでは、はっきりと見えないがまだ両親の手から離れて暮らすには拙い風貌が見受けられる。
黙ったまま見下ろす自分を不思議に思ったのか、小首を傾げている。
「お兄さんは、僕の事きらいですか?」
唐突すぎる質問にどうする事め出来ずに身を引いてしまいたくなるが、視線を感じて目が合う。
「お前どっかで…」
色素の薄い髪、透けるような白い肌。
こちらを見つめる琥珀の瞳。
そう、生前の母の名残が其処にあった。
朝から女人のざわめいた声が聞こえる
普段なら気にする事なく惰眠するわけだが、ある事を思い出して襦袢のまま声のする方へ向かった。
「なんて恐ろしい子…!!」
「穢れた子!」
ある者は怯え、またある者は眉を上げ憤怒していた。
その中心には、血まみれになった母と赤ん坊。 赤ん坊は泣き喚くなく母の腕の中でうずくまっていた。金にも似た髪は産まれて間もないだろうにも、ハッキリと伺えた。
そんな惨劇から我にかえる。
「母上!気を確かに!!」
とり囲んでいる女人を押し退け母の元へと行き手を握る。
触れた手は熱を失い、指先まで凍ったように冷えている。
齢14にもなっていれば、それが何を意味するかなんてわかっていた。
「湛快様、お止め下さい。奥様はもう…」
それでも、いつか握り返してくれるのではと力を弱める事はしない。 皆が止めてみるも、暫くすると湛快に声をかける事なく見ていた。
静寂の中、産まれた赤ん坊の泣き声が響いた。
久しぶりに更新。
今日は教習所の入校手続きしに行こうと電話したらお休みでした…。
ついてないなぁ
帰って課題をやれと言う意味ですね、理解です。
誰か労って…!!って事で虚しく落書きしたお兄さん。はぁー、ついてないなぁ。
落書きをしていたら背景が冬になってしまった件。
途中までは良い感じだったのに、多分面倒になって適当にしたのがダメだったんだ…。
オプションでゆきだるまなんか書いちゃってるし。
よし、今からクロアリでもやりますか。
白兎さん可愛いなぁ…。
課題? それはまた、今度の休みにでもやります