凄く久々に読書をしてみました。本棚の奥の奥から引っ張り出して来た江國香織の「つめたいよるに」です。
実は短編集になってて、全部で21話収録されてます。

*収録話*
*デューク
*夏の少し前
*僕はジャングルに住みたい
*桃子
*草之丞の話
*鬼ばばあ
*夜の子供たち
*いつか、ずっと昔
*スイート・ラバーズ
*朱塗りの三段重
*ラプンツェルたち
*子供たちの晩餐
*晴れた空の下で
*さくらんぼパイ
*藤島さんの来る日
*緑色のギンガムクロス
*南ヶ原団地A号棟
*ねぎを刻む
*コスモスの咲く庭
*冬の日、防衛庁にて
*とくべつな早朝

江國香織の本を読んだ事があれば解るかもですが、どのお話にも共通する何とも言えない不思議な落ちが凄く魅力的です。
ちなみに私の好きなお話は「草之丞の話」と「南ヶ原団地A号棟」でした。

ここから軽くネタバレするのでご注意下さい。
「草之丞の話」は小6の男の子が主人公で母子家庭。でもひょんな事から自分が幽霊の子供だと知っちゃいます。舞台女優だったお母さんのお芝居を天国から観た侍のお父さん、草之丞がお母さんにひと目惚れして下界に下りて来ちゃったんだとか。

そのお侍さんがこの現代ですったもんだして、最後に「れいこさん(お母さん)をよろしく」って消えちゃうお話でした。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、何かすとんと残る感じなんですよね。

「南ヶ原団地A号棟」は、同じアパートに住む同じ小学校で同じクラスの3人の子供の作文を担任の先生視点で読んで行くってストーリーです。
お菓子作りが大好きで凝ったものを作るお母さんにうんざりする男の子に、共働きで家事が適当なお母さんを持つ女の子。少しぽっちゃりしててダイエットを強要するお母さんを持つ女の子は家事が適当でわりと自由に食べられる女の子を羨ましがって、お菓子作りが大好きなお母さんを持つ男の子はしっかり分別を持って食べさせるお母さんを羨ましがる。家事が適当なお母さんを持つ女の子はお菓子作りが大好きなお母さんを羨ましがる、っていうまさに「隣の芝生は青い」状態でした。

その作文に厳ついコメントを付けずに大きな花丸だけを付けた先生も微笑ましいなあ、なんて思ってみたり。
他にも面白いお話がたくさん入ってる短編集です。久し振りに読書を習慣付けようかなあ。

話題:江國香織さん