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対象外だと思いつつも心のどこかでは期待していたのだ。自分でも気づかないほど奥深いところでひっそりと膨らんでいった風船は膨らみきって破裂する前にしぼんでしまった。
あるいは炭酸の抜けたソーダみたいだね。目の前に座り話を聞いていた教授は一言呟きまた論文に没頭しはじめた。
「バカな子だね」



「だ、誰かに見られたらどうするんですか‥っ!」
「大丈夫大丈夫」
「な‥!ちょっ‥と!」
「ここにはしばらく誰も来ないから、ね」

耳元を掠める吐息の熱さにゾワリと得体の知れない感覚が這う。首を振って逃れようとすればルーピン先生は執拗に耳だけに口づけてきた。

「耳、弱いのかな」
「‥っ、やめ、だめで‥!」
「いやなのかい?」
「いやも、なにも‥!あぅ」

唇が耳たぶを挟み熱い舌が窪みを這い回る。息継ぎするたびに吹き付けられる息が必死に逸らそうとする意識を奪う。抵抗するつもりの声は高く甘くなってばかりで、自分の吐息も次第に短くなっていく。

「も、やめ‥」

ゾワゾワからむずむずへ変化した感覚に何か壊れそうな気配を感じて身をよじった。
見上げた先のルーピン先生は前髪を掻き上げた。
目を伏せて近づいてくる顔につられて瞼を下ろすと

「ごめんね、泣かせるつもりではなかったんだよ」

優しく唇が額に二、三回降ってくる。


自惚れてもいいかな


「こんなこと、先生失格だってわかってるんだ‥‥」


「本当に君は甘え下手だね」

腕を抱きしめる彼女を引き寄せた。
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