雪はキレイだと、君は言った。
けど、儚いねと、君は呟いた。
なんで。
私がそう尋ねると、君は困ったような、戸惑ったような笑みを浮かべて、答えた。
だって、こんなにキレイな白でも、人に踏まれて、汚れて。
最後には溶けて、なくなってしまうから。
悲しそうに、愛おしむように、掌に舞堕ちた雪を握りしめた。
もう一度開いた掌には、キラキラと光りを反射した雫だけが、そこに在って。
うん、そうだね。
私は、頷いた。
でもね。
その儚さがあるからこそ、雪はキレイなんだよ。
私の言葉に、君は微笑んだ。
微笑んで、掌から雫を堕として。私の手を握り締めた。
また、ここに来たいです。
笑った顔は、とても温かくて。
出てきた言の葉は、まるで祈りのようで。
嬉しくて、寂しくて。
絶対に、来ようね。
なんて、なんの保障もない約束をした。
好きです。
好きだよ。
伝わった想いは、偽りなんかじゃなくて。
伝わった温もりは、幻なんかじゃなくて。
そっと、君の掌を握り返した。