その子はガクガクと体を震わせて体を丸めこみ 泣いていた
顔を両膝に埋めて、ひっく と音が鳴る度に肩を揺らして 嫌だ 嫌だ とまるで壊れたかのように呟く彼女は見るからにボロボロで
彼女の綺麗だった腕や足は自分でつけたであろうひっかき傷がみみず腫れのように多量の後を残していて もう昔の面影など全く無かった
僕が何かに怯えているような彼女に どうしたの? と聞いても彼女は嫌だ 来ないで ごめんなさい と3つを言うのみでそれ以外を言う気配は全く無い
僕は何も分からず、ただ彼女の背を撫でて 大丈夫 大丈夫 と囁く事しか出来ず
そんな僕に彼女は また小さく ごめんなさい と呟いた
(君は何が怖いの?)
2日前 彼女は自室で殺人現場を見ました 犯人らしき男は外から彼女の家の階数を数えました
昨日 彼女の家に不審な男が来ました 彼女はそれを震えながら耐えました
今日 ある男が家にやって来ました 男は泣く彼女に優しく声をかけました
彼女は男の2日前の夜を知らず
昨日の予定を知らず
今日の予定も 考えも 行動も 持ち物も 何も 何も知りません