私が片想いをしている彼は

背が高くて細身で、
髪は黒くて色白。

外見的にも内面的にも
すごく大人の雰囲気を
漂わせている。
私はその真逆であって
背がうんと低く、
童顔であるから
子供っぽい雰囲気。
貴方が好きな短い髪に
したから明るめの茶髪に
くるくる猫っ毛で尚更。

どんな感情をも真っ直ぐに
表に出す私。
楽しかったら笑ったり、
悲しかったら泣いたり、
忙しい私を貴方はいつも
大きな心で包んでくれた。

貴方はいつも冷静なフリ。
脳内で考えを張り巡らして
それを一切、顔に出さない。

感情が凍っているような
そんな彼だけど、
少ない言葉から深くて
隠しきれない優しさが
いつも感じられた。
私といる時に見せる
ふとした瞬間の笑った顔は
私の一番の宝物だった。

細い指からなる大きな手も
背中も声も体温も貴方の
ひとつひとつが本当に
いとおしかった。



何もせず一日ぼうっと
過ごしてそうな彼だけど
音楽にはとことん
のめり込んでいる。
ドラムを叩く横顔が
胸が押し潰される程、
かっこよくて素敵なの。

やっぱりバンドマンって
多忙で、私の入り込む隙
なんてなかったのかも
しれない。それでも、
私の我が儘に付き合ったり
いつも側にいてくれた彼は
本当に私を愛してくれて
いたんだとそう思う。


今、私が彼に会いたいと
言えば頑張っている彼を
邪魔することになる。
今、私がよりを戻したい
と泣いたら頑張っている
彼を否定することになる。
今、私が好きだと言ったら
泣いて別れを切り出した
彼に失礼だと思う。

そう考えられるように
なってからちゃんと
自分に歯止めがかかる
ようになった。




大切な大切な存在。