美月大学付属高校。


体育館で行われていた入学式が終わり、新入生達は各々の教室に戻った。

教室に戻ったあさぎは帰り支度を済ませ、職員室にでも寄ろうかと考えていた。

「あ、ねぇ。鹿目さん。良かったらカラオケしに行かない?」

「ごめん。私、都合が悪いんだ。また良い時に声をかけてくれる?」

手に持ったバイト届をヒラヒラと振ると、クラスメイトはそっかと頷いた。

「じゃあ、またね。」

あさぎが教室から出ていくとクラスメイト達はひそひそと話をした。

「鹿目さん、変わっているよねー。」

「ご両親が多忙過ぎて、おばあちゃんに育てて貰ったんだって。」

「え、それって育児放棄?」
「ちょっと、言い方が失礼だよ!」

「これ、ホントかどうかわからないけどさ。鹿目さんのおばあちゃんって普通の人間じゃないらしいよ?
何か魔法使いだとかどうとかって聞いたけど。」

「それ、ただの噂でしょ?魔法使いなんて存在するわけないじゃん。」


「………聞こえているっつーの。」

あさぎは廊下を歩きながら、ボソッと呟いた。


バイト届を提出した後、あさぎはMAHO堂に寄った。
そこには1人の初老の女性が待っていた。


「あら、貴女が鹿目あさぎさん?」
「はい。えっと、魔女界の人ですよね?」

「ええ、私はマジョプラム。マジョリリィのことは常々聞いていましたよ。
魔力が強すぎるせいで魔女界を追放されたって聞きましたけど、幸せな最期を迎えたそうね。」


「………はい。安らかな最期を迎えました。
女王様にお会いできなかったのが心残りだったそうですけど。」

「そうねぇ………今の女王様はお優しいお方だから、色々融通を利かせてくれる性格よ?」
「そうなんですか………。」

「さて、早速で悪いけど植物を運んじゃいましょうか。」
「はい!」


続く。