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ACT18-(1)

姫宮美穂。

姫宮家次期頭首にして姫宮6人兄妹の長兄、姫宮綾人の妻である。
4人の子供に恵まれ、順調な人生を送っていた。


「はい、姉ちゃん。煮物のおすそ分け。」
「悪いわね、颯太。」

「わあ、颯太おじちゃんだー!」
「遊んで遊んでー!」
「彼女できないのー?」
「だー!」

「…………ああ、もう未だに彼女はいないけど姪っ子達が可愛すぎる!」

キャッキャッと美花達に囲まれる颯太を見て綾人はフッ、と笑った。

「義弟でもこうも差が出るとはなぁ……。」

「歳の近い義弟は嫌いなの?」
「実感が沸かんし、たまに義兄さんと言われてみろ。寒いぞ。
それに比べて颯太はまだ良いじゃないか。」

「良かったわね、颯太。褒められているわよ。」

「………あの、姪っ子と遊んでいる時にそう言われると……………。」

「旦那からの褒め言葉として受け取っておきなさい、愚弟。」


「こんにちは、美穂お義姉様。綾人お兄様。」

「やぁ、颯太君。来ていたのかい。」
「あ、満月ちゃんに芳樹さん、お邪魔してます。」

「私のお母さんから煮物を大量に頂いたの。食べちゃって。」

「美穂さんとこのお母さんが作る煮物は絶品だからなあ。」

「はい。」

「ばあばの料理は美味しいもんねー!」
「ねー!」
「うん!」
「だー!」



美花、美鳥、美風、美月の4人に綾人はよしよしと頭を撫でた。


「でもそろそろ男の子の1人や2人は欲しいわねぇ………。」

「あ、姉ちゃんもやっぱりそう思ってたのか?
父ちゃんもそろそろ孫息子が欲しいな………って言っていたぞ。」


「……綾人似の子供ができるのか…………。」

「こら待て、誰もまだ作るとは言っていないぞ。」


「あら嫌だ、これから作るってことでいいのかしら?」


「美穂!」

「うふふ、からかい癖があっていいわねー。」




続く。



出会い

智久が芳樹と出会ったのはインフルエンザに罹った満月を連れて、
守り刀もなしに血相を抱えて病院へ駆けこもうとしていた時だった。

「はぁ……………退屈な日々になりそうだな………。」

受験真っ最中の智久は気分転換に散歩をしていた。


「………………おい、言うことを聞け!」

近くの公園を通りかかった時、何やら騒ぎ声がした。

「聞けるか!俺はこの子を病院に連れて行くんだ!」

2歳ぐらいの子供を連れた少年が複数人の男達に囲まれていた。
周りにも人がいたが、警察を呼んだ方がいいのではないかとかいうばかりで
動こうとしなかった。

それを目撃した智久は、仕方がないと諦めて声をかけたのだった。

「おいおい、病人を連れてる人間に言うことを聞けって言っても無理があるだろ?
善は急げって奴だ、諦めて他の人間に当たったらどうだ?」
「何だと!?」

言うが早いか、智久は自身めがけて拳を飛ばしてきた男達に蹴りを入れた。

カンカンカン、と勝負が決まり、芳樹はおぉ…………と拍手した。

その後、警察が駆けつけて芳樹達は事情聴取を受けたが、
満月がインフルエンザに罹っていることもあって手短に終わった。

「…………すまん、礼を言う。」
「何、気にするな。綿貫と言えばあれだな、世界有数の大企業グループの御曹司じゃないか。
普通だったら護衛の1人や2人ぐらいはつけると思ったんだが。」
「…………何分急いでいたものだから。」
「………となるとその子は姫宮グループの長女にして末っ子か。随分と愛されているんだな。」
「婚約者だからな…………。」
タクシーを拾い、病院まで向かうことにした智久は芳樹に色々と話をした。

他愛もない世間話をしている中で、2人は同じ学校を受験する予定であることがわかった。
「………何だ、同じ学校を受験するのか。奇遇だな。」
「…………ホントだ。まさか同じ高校に受験しようとしている奴と出会うなんて。」
「そういや、俺はまだ名乗っていなかったな。俺は青桐智久。」
「………綿貫芳樹だ。こっちは婚約者の姫宮満月ちゃん。」

桜庭総合病院に向かうと、そこには連絡を受けた守り刀が待ち構えていた。

「若旦那様、御無事で…………!」

「青桐智久様ですね、この度は若旦那様とお嬢様を助けていただき心より感謝申し上げます。」

「いやいや、俺は何もしていないぜ?誘拐犯を蹴っただから。」

「いえ、何を仰いますか……………。ここまで一緒に来てくださり、ありがとうございます。」

ペコリ、と頭を下げる守り刀のへし切長谷部に、智久は手を横に振った。

「若旦那様、先生がお待ちです。お嬢様を診てもらいましょう。」

「あ、うん。…………今回は本当に助かった。礼は必ずするから。」

「おう。」








そして数日後。智久は綿貫家に呼ばれ、豪邸に足を運んでいた。
「……………すみません、青桐です。」
「はい、青桐智久様ですね。お待ちしておりました。」

長谷部の案内で智久は大広間へと移動する。

「………おぉ、君が青桐智久君か。先日は馬鹿孫が世話になったの。」
「あ、いえ…………。」

「…………して、礼の件についてじゃが。
守り刀を1振り贈ろうかと思ってな。受け取ってはくれまいか?」

「え?良いんですか?」
「うむ。同じ学校に通うことになるじゃろうし、長い付き合いになりそうだからのぅ。
そら、鶴丸。入ってきなさい。」
「……はっ。」

襖が開き、1人の女性が大広間に入ってきた。

「鶴丸国永、と申します。以降よしなに………。」
「……宮内庁御物の鶴丸国永!?滅茶苦茶嬉しいんですけど、ホントに良いんですか!?」
「はっはっは、知っておったか。こりゃ良い酒が飲めそうじゃ。」

「ありがとうございます、御前。」

「いやいや、こちらこそ。馬鹿孫とその婚約者を守ってくれて礼を言うぞ。ありがとうな。」



かくして、智久は芳樹と親友になり、共に受験勉強に励み見事第一志望に受かった。


ちなみに。鶴丸を紹介された時の智久の家族の反応はというと。

「いやいやいや、返してこい!」

「あら、良いじゃないの。お母さんは賛成よ。家のことも手伝ってくれるんでしょ?」

「はい。ご命令とあらば、お手伝いいたしますが。」

「あらー、助かるわ。何分育ち盛りが多くて大変なのよ。」

「母さん!」


という具合になったのであった。




終わり。



ACT1-(8)

尸魂界に帰還した咲良は居住区にて母親と別れるとその足で
1番隊隊舎に戻った。

「小鳥遊咲良、ただいま戻りました。」
「お帰りなさい、小鳥遊さん。虚を片付けたそうね。」
「はい。無事に片付けました。」

「お母様も魂葬できたことだし、ひとまずはお疲れ様ですね。」
「あはは………まさか自分が身内の魂葬をするなんて思いもしませんでしたけど……………。」

伊勢七緒と話をして、咲良は彼女と別れると十番隊隊舎に向かった。

「あ、日番谷隊長。」
「………………小鳥遊か。」

「………何か凄い疲れた顔をしていませんか?
もしかしてまた、立っていても座っていても視線あまり変わらないね、とか言われたんですか?」

「そうなのよぅ、咲良ちゃん!隊長ってばそのことを気にして………。」

「松本………仕事はどうした、仕事は。」

「あはは………まだ手をつけていませーん!」

「…………やっぱり…………だろうと思って手伝いに来ました。何から手をつけましょうか?」

「悪いな、小鳥遊。一番隊に行って早々なのにこっちの仕事を手伝って貰って。」

「いえ、お気になさらずに。書類整理はいつものことじゃないですか。」

「…………悪い。助かる。」






続く。

受け継がれるもの

「…………………え、嘘………………?」
綿貫拡樹は1枚の紙を見て驚いていた。

その紙には「加州清光役 綿貫拡樹」と書かれている。

「………よっしゃぁああ!!!」
その文字を見た瞬間、拡樹はガッツポーズを決めた。
「母さんがやってた役を俺がやることになるなんて…………!!」
「おめでとう、ひろ兄ぃ!ママがやってた役やるんでしょう?」
「ありがと、桃子。いや、感動するわ…………。」
「うふふ、私がやっていた役を拡樹がやるなんてねぇ………。
体型の関係でもうやれなくなってきているから、拡樹がやってくれると助かるわ。
貴方は貴方の加州清光を演じればいいんだから。」
「………うん。」
「しかし幕末天狼傳の再演でまさか、拡樹が抜擢されるとはなぁ。
責任重大だぞ、拡樹。」
「父さん、そんなこと言わないでよ!俺、ちゃんとやれるから!」
「お、言ったな?なら最後まで頑張れよ。」
「うん…………!」


「……………こんにちはー、綿貫拡樹です!今日はよろしくお願いします!」


稽古場に入るなり、拡樹は元気よく挨拶をした。

「お、拡樹君か。噂はかねがね聞いているよ、お母さんがやっていた役を引き継いだんだって?」

舞台監督の不知火に声をかけられて、拡樹はへにゃり、と笑った。


「まぁ、コネとかそういうのなんのそのって言われたらうぐぅ、ですけど。
でも、受け継いだ以上はしっかり見せつけてやらないといけないですよね。」

「お、その意気だ。そうだ、見せつけてやればいいさ。お前さんの実力をな。」

「………はい!」


終わり。

ACT1-(8)

その後、綾小路公孝は麻薬取締法違反によって警察に逮捕された。

「…………何もしなくても、どのみち警察に連行される運命だったって奴か。」
「ツメが甘かったんだね、兼さん。」
「ま、これで喧嘩売る奴も少しは減るだろ。」
「加州さんと大和守さんも暴れたかったって言っていたよ?」

「……あの2人は凶戦士だからなぁ、特に大和守は。」


「ご苦労様でした。和泉守殿、堀川殿。」

一期一振に労いの言葉をかけられて、和泉守は応、と頷いた。

「…………で犯行の動機はやっぱり、借金か?」
「そのようですな。お嬢様と結婚して軍資金を手に入れようとしていたようです。
まあ、最もそのような輩にはお嬢様を渡しませんが。」
「だろうな。私達の使命は綿貫と姫宮の血縁者を守り通すことだからな。」

「はい。誘拐未遂も立派な犯罪ですから。」

「一期、1つ聞いてもいいか?」
「何でしょう。」

「…………お前、ホントにお嬢様お抱えの守り刀でよかったのか?」
「当然です。十数年前、お嬢様がお生まれになった際、若旦那様から託されましたからな。
生涯この人しか愛さないという意味を込められた、というのもありますが。」
「……………お前、良い性格しているんだな。」
「褒め言葉として受け取っておきましょう。」

「ま、愚問だったな。忘れてくれや。
私達もお嬢様のことは気に入っているからな。」
「うん、そうだね、兼さん。」

「一期ー、ちょっといいー?」
「はい、ただいま。では私はこれで。」

「おう。」

満月の元に向かう一期を見て和泉守と堀川はクスリ、と笑い合った。



終わり。
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