18/01/08 13:33
小説



「隊長、あれはなんでしょうか?」

しばらくして目標を視認したサムライ中隊の戦闘機。

「・・・・検討もつかない。そのまま待機。」

二番機にそう伝えると、隊長機は佐世保へと無線をやった。

「サムライリードから佐世保。どうぞ。」

「こちら佐世保。サムライリード、状況を知らせろ。」

「了解。目標は・・・大きな塊で、全身が強く発光しているため、内部がどうなっているかは不明。」

「佐世保、他国の兵器の可能性はあるか?」

目の前にいる光の塊は見たことも聞いたこともない。

ただ、地球上にいる物なのだから、何処かの誰かが作り上げたものには違いない。

ならば、まず疑うべきは『他国の最新鋭兵器』という事になる。

サムライリードはそれを空母に確認した。

「佐世保からサムライリード、こちらも先ほど防衛省に確認したが、他国からその地域に干渉するなにかを派遣したり、ミサイルのような何かを発射したという情報はない。」

「何か進展があり次第追って報告する。サムライリード、目標に接近できるか?」

戦闘機がゆっくりと加速を始める。

「サムライリードからサムライ2へ。」

「出来る限り目標に接近する。十分に警戒せよ。」

やがてF-2戦闘機は正体不明機から20メートルの距離まで接近することに成功した。

しかし目標は強烈な光に包まれており、やはり中がどうなっているかは分からない。

隊長は佐世保にそう伝える事しかできなかった。

それから約5分後

「佐世保からサムライリード」

隊長が無線に応じる。

「正体不明機は間もなく我が国領空に突入する。」

「警告を行え」

命令を受けた隊長機は二番機に目標の後方に回るように指示し、自らは目標の前方に出る。

「こちらは日本国・航空自衛隊所属機である。」

「本機後方の国籍不明機に警告する。」

「当機は間もなく日本国領空を侵犯するコースを飛行している。」

「直ちに飛行コースを変更せよ。応答がない場合は警告射撃を実施する。」

無線で呼び掛けながら機体を左右に揺らす隊長機。

それから数分間『日本語、英語、中国語、ロシア語』で呼び掛けたが応答はなく、空母 佐世保から警告射撃の命令が出た。

隊長機は素早く目標左側に移動すると、二番機が後方から機関砲を数発発射した。

警告射撃なので、それ自体が目標に命中する事はない。

何発か発射されたうちの数発が目標の光の外側を僅かにかすめた時だった。

大きな光の塊だと思っていた物から、突如として無数の光が四方八方に散らばり始めた。

それはまるで、沢山の妖精が空を舞うように綺麗な光景だったという。





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