▼ いつかあの日とさよならを・3 (6/23 18:39)


話題:忘れられない人


私と悠は、最初1言も言葉を交わさなかった。


もちろん、私が避けていた。



それでも中学の授業というのは、席の隣同士で作業することも少なくなかった。


「それじゃあ、席の隣同士で組んで、英語の教科書本文を読んで確認しあって下さい」

「漢字の小テストを隣同士と交換して丸付けしてください」


特におかしいことではなかった。



私は極力悠とも関わろうとしていなかった。


席が隣同士での作業でさえ、私は気まずかった。



悠という人は、中学生らしいまだ愛嬌のある顔立ちで、まだ背は私と変わらないほどだったので、男子としては小柄な方だった。


性格は明るくて、おもしろおかしいことをやったり話したりするので、男女共に好かれていた。


そんな彼は、誰が見ても良い人だった。


そんな人でさえ、あの時のみたいなことを言うんだと思うと、そう思えなかった。



理科の時間、班での実験だった。


作業するには男子にも協力してもらわなければならず、私の班はなかなか作業が進まなかったので、仕方なく私が控えめに指示をした。


悠もそれに嫌な顔をせず、実行してくれた。



当たり前のこと。


それなのに、



私にとっては、あの時、それが少し嬉しかった。



普通に話してくれる人なのかな?



でも、裏じゃ何言ってたり思ってるか分からない。



でも………



悠が屈託のない表情で、他の人と話しているのを見ていると、

誤解とはいえ、気持ち悪いと言われた私なんかが喋っていいのだろうか。


と、悩む気持ちが確かにあった。



男子は嫌い


だけど、悠は普通に接してくれる。



この相反する気持ちと事実が、心の中でぐるぐるとしていた。





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