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「贖罪」を読み解く。
・・Anime/TV
2011/10/21/Fri 16:58
気温も湿度も下がり、大好きな『相棒』が始まる秋。
どれほど待ち遠しかったか。
『相棒 season10』が始まりましたね。
初回は2時間枠で、タイトルは「贖罪」。
ハイライトを見ていても、かなり重いstoryなのだろうということはわかっていましたが…‥
やはり事件解決を明るく喜べないお話でした。
輿水氏と和泉監督ですからね、ただでは終わらない。
【あらすじ】
殺人罪で服役、出所したばかりの男が自殺をした。
「自分は無実だ。神戸尊を許さない」という遺書を遺して。
それは尊が15年前に関わった事件で、殺されたのは彼の女友達だった。
尊は証人として出廷したのだが―――。
右京は冤罪の可能性を感じ、当時の捜査や裁判の関係者をあたり始める。
ここから少々ネタバレ要素を含みます。
事件自体はすぐに真犯人が誰かわかりました。
だって女性だったら、すぐにピン!と来ますよね。
ストーカーが「反省したからお詫びに」って家に訪ねて来ても、家の中に招き入れたりしませんよね。
怖いもん。
それに贈り物を送って来られたって、受け取り拒否しますよね。
まして受け取って部屋に飾ったりなんて、絶対にしないでしょ。
そういう心理を理解できる人が捜査員にいなかったことも、悲劇の始まりだったのでしょうね。
尊くんは15年前というと、まだ若く、そして将来有望な官僚だったわけですよ。
出世コース驀進、眉目秀麗、容姿端麗と来ちゃ、引く手数多だったでしょう。
そんな女友達からストーカーの相談を受けて、2度忠告したにも関わらず、最悪の結果が起きてしまった。
彼女は殺されてしまった。
警察官である前に、彼は一人の生身の人間としての感情に走ってしまった。
「死刑になればいい」
そういう思いに駆られて、嘘を述べてしまう。
もちろんその証言が決定打になったわけではないのでしょうけれど、その男は殺人を犯したとして裁かれることになる。
真犯人はその後ものうのうと生き、更に当時の捜査や裁判の関係者を強請る。
「冤罪」をちらつかせて。
冤罪を公表されることを極度に恐れたわけですね。
だからあの4人の関係者たちは、真犯人の言う通りに金を払った。
その同じ穴の狢たちを追い詰めるために右京さんが取った行動は強引だったけれど、でも罪を償わせるには最適だったのではないかと思うのです。
そして尊くんも偽証してしまった罪を背負って行く覚悟を決めるのです。
だから「贖罪」。
このドラマの感想を綴っているブログを幾つか見ましたが、中には彼が犯罪者だと嘲っている文章も…‥。
ちょっと哀しかった。
どう感じようと、何を書こうと自由だと思いますが、でもこのドラマのテーマはそういうことを描いていたのではないんじゃないか…‥と。
コレだって、わたし個人の解釈にすぎないわけですけれどね。
若かりし尊くんは、警察はいつも正しくて、間違いなど犯すはずもなく、正義を行使しているのだと信じて疑わなかったわけですよね。
それが今回、冤罪が明るみに出てしまって、自分もまた関わってしまっていたことに愕然としたと思います。
ひとつの命が奪われ、そして無実を叫びながらもうひとつの命が消えた。
どちらも護ってやることもせず、またできず、愚かな自分の罪に気づく。
民事訴訟を起こすことになった、自殺した男の母親を支えていくのが彼の罪の償い。
だから「贖罪」。
和泉監督は、視聴者にそのことを気づかせたかったんじゃないかと。
ただちょっと疑問に思ったのは、その自殺した彼は何故、控訴しなかったんだろう。無実をもっと訴えなかったのだろう。
現実に冤罪が立証された人もいたのだから。
そこの部分が語られてなかったので、そんな思いが残って、やはり後味がすっきりしないままでした。
たまきさんが花の里を閉めてしまったし…‥
益戸さん、降板なのでしょうか?!
珍しく「ボクはどうしたらいいんでしょうか」なんて弱音を言う右京さんに、たまきさんは微笑みながら「もう子供じゃないんですから」って応えたシーンなんて、別れを予感させるようで。
いつものように花の里へ足が向いてしまって、気が付くと灯りが消えていて。
習慣とは怖いものだと呟く右京さんの肩に哀愁が。
右京さんにとって、たまきさんはホッとする「灯り」だったのでしょうね。
小野田官房長も亡くなり、たまきさんも居なくなり…‥
右京さんはますます孤立して行きそうで、このシーズンも気が気でなりません。
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