三日月夜話
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3day Bouz Photo Diary

「晩鐘」に心深く。(『相棒』)
・・Anime/TV
2010/11/17/Wed 12:40


10日にOAされた『相棒』、胸の奥がじんわり熱くなるお話でした。

榊降平役の米倉斉加年(まさかね)さんは、1934年生まれの御年76歳。
劇団民藝出身の俳優で、演出家、絵師でもあるんです。
だから老齢になっても売れない画家の榊役は、真に迫るものがありました。

50年前に若くして亡くなった天才画家が残した遺作「晩鐘」を巡って、起きてしまう殺人事件。

それは利益のみ優先する画商の欲が、芸術を歪ませてしまう。
純粋に芸術を愛してさえいたら、画商は殺されるようなことはなかったのに。


亡き天才画家と榊老画家との関係は、どんなものだったのか…。


最初は亡くなった天才画家は、高慢な人物として描かれて行くけれど、ドラマのクライマックスで、真実はお互いを尊重し高めあう親友同志だったとわかります。

この辺りから、だんだん胸の奥が熱くなって来て…。


天才画家は亡くなる前に、「あいたい」と一言電報を送れば、榊氏は飛んでいったでしょうに、最後まで意地を張った彼は「晩鐘を引き裂いた」と手紙を書きます。

榊氏は、親友の死に間に合わなかった…。
そして「晩鐘」は、引き裂かれてなどいなかった。

それを引き裂かれていた絵の方が、個展はたくさんの人が来て儲かるからと、遺作の「晩鐘」を本当に引き裂いて、傷跡は偽りの時間経過処理をすればいいと、贋作家に依頼した画商が殺されたのでした。


右京さんと神戸くんの事件解決した日は、亡き天才画家の回顧展の当日。

優しい灯りの中で、静かに掲げられた「晩鐘」。

それを懐かしむ榊老画家の姿が、若き日の二人の青年に重なっていって。

静かに感動してしまいました。


実は、わたしも絵を描くのですが、昨年他界した親友と、あと二人の友人とで画集を作ったりしたことがあるんです。

他界した親友の描く絵は、彼女の温かな笑顔そのものの画風でした。
わたしには描けない、彼女の優しい画風が大好きでした。

いつか「四人展」開きたいね♪

そんなことを言い合っていた日のことを思い出していました。

彼女が他界して、もう「四人展」は叶わなくなってしまいました。


米倉斉加年さんの静かでありながら、熱い演技に、あの日の若い約束を思い出し、涙が零れました。

『相棒』は、ベテランの大御所な俳優さんが出演する時は特に、storyが素晴らしいですよね。

「寝台特急カシオペア殺人事件」の長山藍子さんや、「密愛」の岸恵子さんが出演された時と並んで、このお話もまた秀逸な作品でした。

政界に鋭く斬り込み、情緒に深く優しく。

それが『相棒』の素晴らしい所ですよね。

(写真をパレットナイフ調で、絵画のように加工してみました。
撮影:W51CA)

theme:‡相棒‡

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