話題:妄想を語ろう
「なぁ、薬売りの」
「どうしました。小田島様」
小田島は道端の‥名も知れぬ花を眺めたまま、此方に言葉を投げかける。
「小田島、様‥」
小田島の返事が無い事を疑問に思い、振り返る薬売りの男
其処には、静かに震え‥今にも涙を零さんばかりの小田島が居た。
「あぁ‥」
いつか 聞いた
小田島の母の命日
「‥今日でしたか」
静かに頷く小田島
「墓に供える花‥貰えるか」
荒く涙を拭い
ぼそり 呟く
「小田島様のお母様に、お似合いの花を誂えましょう」
微笑む薬売りの男
彼の背に
ふわり 花弁が舞う