がっぺ怖ぇぇ話!画像もあるっぺ!


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許容範囲


二年程前の話。




その年の夏。


俺は大小様々な不幸に見舞われていた。


仕事で有り得ないミスを連発させたり。


交通事故を起こしたり。


隣県に遊びに行って、車にイタズラされた事もあった。


原因不明の体調不良で十キロ近く痩せた。


そして何より堪えたのは、父が癌で急逝した事。


そんなこんなで


「御祓いでも受けてみようかな…。」


なんて思ってもない独り言を呟くと、現在は嫁である当時の彼女が


「そうしようよ!」


と、強く勧めてきた。


本来、自分は心霊番組があれば絶対見るくらいのオカルト大好き人間なんだ。


だけど心霊現象自体には否定的。


こういうタイプの奴って、一番多いんじゃないかと思う。


で、御祓いが利くなんて全く信じちゃいなかった。


自家用車に神主が祝詞をあげるサマを想像すると、シュールすぎて噴き出してしまう。


そんなものを信用するなんて、とてもじゃないが無理だった。


彼女にしてもそれは同じ筈だった。


彼女は心霊現象否定派で、なお且つオカルトそのものに興味がなかった。


だから、俺が何の気なしに言った『お祓い』に食いついてくるとは予想外だった。


まぁそれは当時の俺が、いかに追い詰められていたかという事の証明にもなる。


実際、今思い返してもいい気はしない。


俺は生来の電話嫌いで、連絡手段はもっぱらメールが主だった。


そんなダメ社会人の俺は彼女に神社に連絡してもらい、御祓いの予約を取ってもらった。


そこは地元の神社なんだけど、かなり離れた場所にあるから地元意識はほとんどない。


ろくに参拝した記憶もない。


死んだ親父から聞いた話では、やはり神格の低い(?)神社だとか。


しかし神社は神社。


数日後、彼女と二人で神社を訪ねた。






神社には既に何人か、一見して参拝者とは違う雰囲気の人達が来ていた。


彼女の話では午前の組と午後の組があって、俺達は午後の組だった。


今集まっているのは皆、午後の組という訳だった。


合同で御祓いをするという事らしく、俺達を含めて八人くらいがいた。


本殿ではまだ午前の組が御祓いを受けているのか、微かに祝詞のような声が漏れていた。


所在なくしていた俺達の前に、袴姿の青年がやって来た。


「御予約されていた方でしょうか。」


袴姿の青年は体こそ大きかったが、まだ若く頼りなさ気に見え


『こいつが俺達の御祓いするのかよ、大丈夫か?』


なんて思ってしまった。


「そうです。」


と、彼女が答えると


「もう暫くお待ち下さい。」


と言われ、待機所のような所へ案内された。


待機所と言っても、屋根の下に椅子が並べてあるだけの『東屋』みたいなものだった。


壁がなく、入り口から丸見えだった。


「すいません、今日はお兄さんが御祓いしてくれるんですかね?」


と、気になっていた事を尋ねた。


「あぁ、いえ、私じゃないです。」

「上の者が担当しますので。」


「あ、そうなんですか。」


少しホッとする俺。


「私はただ、段取りを手伝うだけですから。」


と、青年が言う。


すると、待機所にいた先客らしき中年の男が青年に尋ねた。


どうやら一人で御祓いを受けに来ているようだった。


「お兄さんさぁ、神主とかしてたらさ、霊能力っていうか幽霊とか見えたりするの?」


その時、待機所にいる全員の視線が、青年に集まったのを感じた。


俺は思わず可笑しくなったが、そこんとこは知りたかった。


「いやぁ、全然見えないですねぇ。」

「まぁちょっとは『何かいる』って感じる事も、ない事はないんですけど。」


皆の注目を知ってか知らずか、そう笑顔で青年は返した。


「じゃあ修行って言うか、長くその仕事を続けたら段々見えるようになるんですか?」


と、俺の彼女が聞く。


「ん〜、それは何とも…多分…。」


青年が口を開いた、その時だった。









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category:
呪われし勇者達の死ぬ程怖い話

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