ミギーは俺の嫁な(右手的な意味で)
08年6月19日 21:48

話題:寄生獣

もし他人に一つだけ漫画を薦めなさいと言われたら迷わずこれを挙げるでしょう。

これから読む予定がある方のためスペースを空けときます。※ネタばれ注意。














概略から簡単に説明。

ある日の出来事。何の前触れもなく不可思議な物体が、突然宇宙から舞い降りた。
テニスボール程の大きさの彼らは、地上に着くや否や蛇のような形状となって人に接近していく。
その生物達はある目的を持っていた。目的とは人の脳を奪うこと。彼らは、耳から鼻から、または体を貫いて体内への侵入を試みる。そして見事に脳を奪取し、人間に寄生を果たした彼らには、たった一つだけ命令が下された。

 この種を食い殺せ。

全国各地で、一夜にして、幾人もが未知なる生物に寄生された。ある所では父親が、またある所では恋人が、またある所では隣人が――


物語の主人公泉新一もまた、寄生された人間の一人だった。だが彼が他の寄生生物と違ったのは、脳を奪われることなく、右手部分を寄生されたのみに止まったこと。九死に一生を得た新一は、図らずも右手寄生生物(ミギー)との共存共栄、共闘の生活を始めることとなった。

脳に寄生した生物達は、下された命令(本能?)に従い、霊長類ヒト科の補食を繰り返す。生きるため、人を食べる。

最初は人間に擬態したまま単純な補食を繰り返していた彼らも、いずれは自分達の存在が知れ渡って駆逐され、淘汰されゆく運命だと知ると、人間社会に上手く溶け込み、種族繁栄、人類と共存共栄の術を模索しはじめる。

物語の序盤、泉新一とミギーは、寄生生物達から危険分子と判断され、命を狙われるだけの立場だった。

度重なる死線を潜り抜け、互いに理解を深めながら、敵である寄生生物達と共に、二人もまた種として成長していく。

いつからか、人と寄生生物を繋ぐ重要な役割を担うこととなる。


話の根底にあるのは種族としての“人間”

人が人という種族だけの我が儘で、隣人を命を守るためだけに、種として真っ当に生きようとしている(補食活動を繰り返している)寄生生物達の命を奪っていいのか?

人の命を守ろうとするのは人間という種族の我が儘。
寄生生物が人を食うのは生きるための摂理。

食物連鎖のピラミッド頂点立ち、自浄作用を失った人間によって崩壊した自然界のバランス。地球というを家族には、寄生生物という子の存在は不可欠だった。

板挟みとなる新一。

結論から言えば、新一は自分の我が儘を貫き通した。最後まで人間としての立場を捨てれなかった新一は、目の前で消え入りそうな寄生生物を殺した。最後まで異なる種族の立場になれなかった自分の弱さを嘆きながら、相手に同情しながらも、人間が出来る事と言えば、身の回りのちっぽけな幸せを守ることで精一杯なんだと結論付けた。

だがラストで、もう一人の主人公ミギーは、同じ人と寄生生物の中立的な立場から人間の素晴らしさを提示してくれる――。


と、概略はこんな感じ。


何というかテーマからして永遠の禅問答なんだよね。しかも人間に勝ち目のないテーマ。そんな中でミギーが見いだしてくれた回答には身震いした。はからずとも新一はその行動を取っていた。人間って素晴らしいと思わせくれてありがとうミギー。

どこぞの大学のどえらい教授が講義で使ったりするくらいなんで読み応えは保証します。でも敷居は低いので、すごく読みやすかったりします。

汝隣人を愛せよって感じです。




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