10/05/16 12:21 [一日]
とある大きな猟犬のおはなし

秀なブリーダーがおりました


ある家族が
「おたくんところで買った犬凶暴やわ!」
とクレームをつけてきました



話を聞くと
その家の訪問者や他の犬に対して
飛び掛かったりうなり声を上げるそうな


困り果てた家族は
あるトレーナーを招いて調教してもらおうとしましたが
なんとそのトレーナーもお手上げ。


ついには安楽死させることを勧めてきたのです



家族は安楽死なんてさせたくなかったので
ブリーダーに電話を掛けてきたのでした



ブリーダーは
お金は払い戻すから、その犬を私の元に返してもらえませんか?と申し出ました




実際その犬を迎えに行くと
犬は歯をむくことも
うなり声をあげることもなく
ただ興奮して鼻をくんくん鳴らしながら
犬小屋に入って行きました




それを見てブリーダーは全てを理解しました



犬の言葉を理解できない人ならば


42本の長く白い歯を見せられたことが
攻撃的と思ってしまうでしょう


しかし犬が歯を見せるには
様々な理由があるのです


この犬がとった表情は実際
服従を示して穏やかに笑っていたものだったのでした


この表情は
「うぉらあぁ!噛み付いてやる!」という意味ではなく
「私はあなたがボスだと理解していますよ」という意味だったのです


まだ若いが故の元気のよさのせいで
この犬は人や他の犬に飛び掛かっていたのでした


彼にとってはただの挨拶の一部でした


単純に挨拶として
人間の鼻に触れたかっただけなのでした


そして彼が人間の鼻に触れるには
飛び上がることがたった唯一の方法なのでした


でもこのことが威嚇だと思われないように
彼は従順なしかめ面をしていたのです


自分が攻撃的だと
家族やトレーナーに叱られれば叱られるほど
彼はますます従順になりました

「あなたたちに従って居ます」と感じていればいるほど
人間たちは自分のサインに
気づいていないのではないかと考え
彼はますます大きく“笑った”のです




もちろん


彼が大きく“笑え”笑うほど


彼はより多くの歯を見せることになったのでした


♪ツヅキ
:2

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