@サスペンス・スリラー(製作国:ドイツ)
・全体的に暗い印象
・集団心理の暴走、洗脳など
・心理学の視点で見るといい
・緩急は弱めで派手な見せ場はないけど、テンポはいい
米国の高校で実際に行われたサードウェイブ実験を基にした映画。
スタンフォード監獄実験を基にしたesというドイツ映画よりもマイナーですが、esが好きな方はかなりおすすめです。
ドイツ映画独特の雰囲気で、ハリウッドのような派手な演出はないけど、じわじわと精神的に来る内容。
民主主義しか知らない現代の普通の高校生が、独裁を主題とする授業を通じて、次第にマインドコントロールされた状態に陥る過程が描かれています。
鑑賞済みのホラー映画覚え書き一覧は
こちら。
追記は感想につき、ネタバレ注意!
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【感想】
見ている私たちからすれば、そんな簡単に洗脳されないんじゃねとかつっこんでしまいがちなのですが、そういう人に限って洗脳ってされやすいともいう。
そして、まさに「今の時代に独裁は有り得ない」と考えている子どもたちが洗脳されていきます。
人間は簡単に洗脳されてしまう生き物で、それが多感な未成年となると尚更でしょうね。
そして洗脳された本人は、洗脳されていることに気付かない。
集団心理の怖さもよく表現されていると思います。
映画は流石にペースが速すぎるのと、「こんなこと起きないだろう」って思う内容もありますが、でも「こんなこと起きないだろう」ってことが起きるのもまた現実で。
事実は小説も奇なりという言葉があるように、日本でも洗脳事件って実はよくあり、人間の心理状態って摩訶不思議。
これって、同調圧力の強い日本の方が成功しそう。
全体的にテンポはいいです。
起立して発言、制服を着る、行進などは、日本の教育現場では普通ですが、個性を尊重する海外ではそれらの経験は全くないのかも?
集団心理の怖いとこは、指導者が命じなくても勝手に暴走するとこです。
それが上手く表現されているなあ、と感じました。
そして性格は、環境によって変化するのもそうだと思います。
でも、多分全員が狂信者になったわけではないんですよ。一部の発言や行動が目立つと、集団全体がそう見えるだけかなと。
本当は狂信的な信者は一部だけで、たた周囲に釣られただけだったり、雰囲気に呑まれていたり、疎外が嫌でグループから脱せられなかったり。
一人一人が狂信的でなくても、参加したり同調しているうちに、それは大きな集団や組織、国となるのかもしれません。
戦時ドイツや、フランス革命も然り。
色んな考え方の出来る映画です。