ここはかつて二人の部屋だった。
大げさなリンゴ
大げさなビニール
大げさな衣服
すべて大げさに寂しげだった。

かつて二人の部屋だったところに二人はいない。
白い壁のように記憶は真っ白で、少し濁ったところは過ちにとても似ていた。

足の裏は汗ばんでいて床にはりつく。借りたDVDが転がっている。

本質が変わってしまったと漠然とそう思う。例えば、裏と表や白と黒のように。かつてここにあった言葉たちは力なく横たわって死んでいる。
新しかったものはくすみはじめ、毎日のきらめきもまた、光のない場所に閉じ込められた植物のように、成長するかてを失って絶望をつぶやいている。

紫色のカーテンがはためき
ベッドシーツに毛玉がつき
新しい気持ちにほこりがついて
埋もれていく。埋もれさせる。
この中はスノードームのように雪が舞って散って積もる。そこからは出られないのに、水が張っていて息をすることが、できない。

誰が悪かったわけでもない。
静かに積もって、大げさにカーテンがはためいているだけ。

開かない扉を待っているのは、
スノードームの中のくずれた人形。
また散らせて酸素を求める。









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