おはじきの一枚一枚の
模様がすべて違うように
いくつか指から滑り落ちる
うつくしいものも含めて


あの子の瞳はクリーム色
誰が流したか知らないが
あの子の家の横の川にも
アイスクリーム流れてる


6月22日のキャベツ畑では
今日も知らない歌声が
小さな音で流れてる
ぼくとぼくの内臓しか
聞こえない暗い暗い歌


かかとをこつんと鳴らします
もひとつこつんと鳴らします
もひとつこつんと鳴らします
もひとつこつんは音だけ


キャベツ畑の少年は夢の中で
クリームの瞳に恋をした
彼女は夢の中でこう言った
キャベツ畑なのに
りんごが落ちているのねと


彼女がかかとを鳴らすことを
やめてからはもう会えない
二人それぞれ大人になって
おはじきのような毎日過ごす
時々りんごを食べるとき
ふと思い出しては懐かしむ


彼女はというと
あの時の彼に会いたいと
6月22日だけに
かかとを鳴らしては
歌をうたっているのです
彼の耳に届けばいいのにと。







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