半信半疑で見つめた腕時計
不慣れなまばたきを繰り返し
ちらばったビーズを集め
美しくもない森へ出かける

大量の銀杏を踏み潰して
石畳の庭を降りると
ところ狭しと並べられた
飴玉がこっちを誘う
いらないいらない

ぱちぱちと
音をたてて飴玉はじける

「ともかく」
ベッドの中は森だったから
水を持っていかなくちゃ
疲れてしまうのよ
わかってない

とん とん とん
上手にバタ足をして
今度は海をおよぐ
忙しい夜だ まったく
金魚のように

魚屋のように

八百屋になった

お勘定もらいます

揺れる揺れる泡の中
息ができなくなった
さっきの飴玉とける
油のように

気がついたら
「いてっ」
と声がして

おもちゃの指輪が
背中の下敷きになって
壊れてしまった

ころころビーズおちて

近すぎる遠くの森へ
まっさかさま

またいつか行けるよね
正夢の森







戻る

-エムブロ-