14/09/13 23:48
初恋
田舎だから幼稚園も小学校もメンバーは一緒。
気がついたのはもう6年生になってから。

いつも突っかかってくる男の子がいて、手加減無しに幼稚園の時は叩かれたりしたから正直苦手だった。それでも、小学校に入って高学年になるとたまに優しかったりしたからかな?気が付いたら好きになってた。

でも内気で根暗い私は色恋には恥ずかしさもあって、遠巻きに気にしてたり無視してた。

中学校は少し遠い町の学校になったから田舎の私達はバラバラになった。それでも、たまに校内で見かけたりする。ただ見てるだけで興味は段々に薄れていった。

中学最後のマラソン大会。ゴール間近、たまたまその男の子と並んだ。最後、二人でゴールを競った。その瞬間だけ小学校の時のふざけあってた関係に戻った気がした。ちょっとの差で私が負けた。でも何故か嬉しかった。会話はしなかったけど、感覚で。お互いに付き合うとかそんなものじゃなくてもっと優しい関係の気持ちで居る事を確認出来た気がした。

それから成人式までその男の子とは会わなかった。二次会で、小学校メンバーと顔を合わせた。変わらなかった。まだまだ内気で根暗い私だったけど笑って挨拶出来た。それだけ。喋ったのはこの時だけ。

数年して、また会った。白い綺麗な箱の中で寝た姿で会った。小さい頃から母親似で美人な男の子だったから、化粧されて目を瞑っている姿も一段と綺麗で美人が際立ってた。涙は出なかった。女の子達が皆泣く中で、冷静に飾られた写真を見て思ってた。大人になっても面影も何もそのまま変わらない人だったんだなぁ。と。

病気だった。その名前は忘れた。

『頑張れ頑張れって言われて、まるでマラソンでもしてるみたい。』

最後にそんな話をしてたみたい。

君には長距離選手がお似合いだよ。

今更だけど、さようなら美人君。歳をとらない私の初恋相手。私は醜く歳をとることにしたよ。

聞いて驚いて。私、名字が変わる予定なんだよ。君が知っている名前の根暗ちゃんは消えちゃうんだ。

それから朗報。美人君。君の兄さんは私のいとこの姉さんと一緒になるみたい。不思議だね。遠回りで繋がった。マラソン大会で感じた優しい感覚はこれを予知していたのかな。でももう君は居ないから関係無いね。少し淋しいね。

ゴール間際にまた会うのかもしれないけど、それまでは忘れてしまう事にするね。
私も頑張るから応援してくれたら嬉しい。


これは妄想です。
フィクションです。
一方通行なんです。
美人君に笑って頂く為のお話です。




















話題:忘れられない人



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