5/26 22:46
謁見(拡散性MA/ランスロットとアーサー)


「これから仕える主には失礼のないようにな」

「承知している」

そうは言ったものの、いくらか不安要素がよぎる。
自分と同じく筋の通った者か。自己中心的ではないか。

だがそれは杞憂に終わる。

作られて目覚め、長い廊下を魔道士の後につられ歩く。
ふと怒声が聞こえ動かしていた足を止めた。
それは前を歩いていた魔道士も同じのようで。

「またあやつか。こりぬ者よ」

また、というからにはよく怒鳴っているのだろう。
魔道士がその声に向かっていくようなので、彼もまた後に続いた。





「駄目だ。そのような危険な場所へ一人で行かせる事は出来ない」

「何故です!僕は役目を果たすべきだと申したはずです!」

「一人では危険だと言ったのだ!」

「っ!でも!僕と同じような者が他にいるとでも仰りますか!?」

「だが一人では行かせられない・・・!」

「王・・・・」

王だと。
まるで少年。金髪の細身な、ごく普通・・・とは違うものの幼さの残る顔立ちだった。
遠目から見てもまだ未熟だと分かった。作られた事を少し後悔したかもしれない。
黙って聞いていると魔道士が止めに入るのが見える。

「アーサー。お主はもう少し声を抑えろ」

「しかし!単独の任務は危険が伴うのだぞ」

「言い方は酷かもしれんが、また作り直せる。行かせてはどうなのだ」

「・・・・・・・・・・・・!!生まれた命、粗末にしろと言うのか!」

先ほどとはまた違った憤慨。それを見た途端、どこか心が晴れるような感じがした。
我儘でもなく。筋も通っている。
そして、彼はどことなく自分と似ているのだと。

「王。僕は大丈夫です。行かせてください」

「・・・カエルダン。約束しろ。無事に帰ってくると」

「もちろんです!危なくなったら逃げてきますよ」

カエルダンと呼ばれた男は彼が折れた事を悟り、決意を秘めた笑みを表した。
すぐに踵を返し、城門へと走っていった。

「貴公がアーサーか」

「そうだが・・?お前は?」

「ランスロット。そう呼ばれていた」

「湖の・・・・そうか。作られたのだな」

「貴公の護衛のためにな。よろしく頼もう」

「すまない。よろしく頼む」







あぁ、彼ならこの生涯を捧げてもかまわないだろうか。











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