空色柘榴


 
ザ・ふかよみ



2011.12.16(Fri) 22:59

センチメンタルサーカスの絵本があると聞いて病院帰りにゲットしてまいりました。
表紙からしてどこか切ない。
その感想すら、コンセプトをグッズで目にしている故の深読みでしょうか。

お話自体は、歌うような語り口で淡々と進んでいきます。
昼夜逆転したおもちゃ達がサーカスの準備をして興行、後片付け。
シャッポさんの回顧録を挟んで次の町へと移動していく様が描かれています。
寝起きのシャッポさんハンパなくかわいい。

深読みは、シャッポさんの回顧録。
いや、設定から想像した以上に切なかったです。
ボロボロの状態で目を覚ましたのはゴミの山の頂上。
はぎれやボタンを集めてきて自分の身体をリメイク、さらにトトを作って見様見真似でサーカスを結成し興行を始めます。

サーカスという形を選んだのは、おもちゃとして、ぬいぐるみとしての記憶があったからなんだろうなと思ってみたりする訳で。
誰かを楽しませる存在としての記憶があったから、観客を楽しませるサーカスという形を選んだんだろうなと。
ボロボロになって捨てられて、それでもおもちゃとして誰かを楽しませたいんだろうなと。

もしかしたら、いちばんシャッポさんに近いのはクロとポニかもしれないな、なんて、起き出すシーンを見ていて思いました。
クロは元は白猫だったのにごみ箱で埃を被って黒猫になってしまったという公式設定がありますし、ポニが昼間いるのは、多分閉鎖された遊園地。
人間の都合で捨てられて、それでも、人を楽しませた記憶があるからサーカスに加わっているんだろうなと。
…トイストーリーも真っ青の切なさと温かさですよセンチメンタルサーカス。

ちなみに、トトはシャッポさんの顔の端切れから作られた設定なのでおもちゃ時代はありません。
最初からシャッポさんのパートナーとしての役割が与えられていた、センチメンタルサーカスで多分いちばん幸せな子。
シャッポさんから若干酷い扱いを受けても耐えているのは、本人(?)もよくわかっているからでしょう。

この絵本、センチメンタルサーカス好きなら買って損はないと思いますが、自分をリメイクするシャッポさんはかなり胸が痛みます。
漢字に全部ルビが打ってあるので子供も対象なのでしょうが…どちらかというと大人向け、多分。
…うん、絵本で、しかもキャラもので泣くとは思わなかったよ……。


話題:センチメンタルサーカス


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