ああまた怒られた。
ただ友達と飲みに行っただけなのに、しかもそれを隠しもせずに報告したのに、あ、報告したのがまずかったのかな、とにかく、わたしは彼に怒られた。
「別にそういうんじゃないのよ、友達だもの」
「友達って、それ男だろ?しかも二人で」
「いいじゃない、友達だもの」
「よくないよ。友達だ何だって言って男は常に余計なこと考えているんだから。大体二人で飲みに行くなんて下心があるに決まっているじゃないか。特に君はね、隙が多すぎるんだよ。男はそういう付け入る隙がある女を狙ってくるんだからね」
それだけまくし立てると、勢い余って立ち上がってしまった彼はふう、と溜め息を吐いて椅子に座った。
「隙?隙?分かんないなぁ。わたしってそんなに隙だらけ?」
「隙だらけだよ」
「分かった。じゃあ今から、わたしが隙を見せたら言って」
今からね、と、パン、と手を叩いた拍子に、わたしはテーブルの一輪挿しを倒してしまった。
「ああ!」
一輪挿しは落ちなかったけれど、水は漏れ花は落ちてしまった。
「ほら、さっそく」
わたしは直ぐに花を拾おうと屈んだ。
隙に、着ていたワンピースから胸元が覗き、ブラジャーの肩紐が腕に下がった。
彼が立ち上がった。
「そこがスキ」