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花嫁

「綺麗……」
思わず口をついて出た言葉は、隣に立つ姉とハモった。
わたしたちはクスリと笑い合って、またそちらへ視線を戻した。
ヴェールを被って、少し恥ずかしそうにヴァージンロードを歩く彼女は、それはそれは綺麗だった。
わたしは泣いた。
おめでとう、おめでとう、とどこからも囁くような声が飛び交っていた。
テラスに出て、花びらの中を泳ぐように進む彼女は、やっぱり恥ずかしそう笑っていた。
わたしはブーケを本気で狙ったけれど、ああいうものは狙うと取れないのか、わたしの手をバウンドして、隣のお姉さんの腕に収まった。
羨望の眼差しは、それから何度もわたしの瞳を濡らした。
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