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遠ざかる

そう思いたった時、虚勢をはるわけではないけれど、恐いとは思わなかった。
だってそれは私が少なくとも本気で望んだことだったから。
蟲が巣食っている。
布団は眠るためではなく、涙を拭うためにあった。
死というものはいつもすぐそこにあると言うけれど、私を含めて大抵の人はそれを他人事だと思っているに違いない。
自分は死と無関係の世界で生きている。
自分が明日死ぬかもしれないと思っている人などごく少数だ。
だけど私は気付いたのだ。
最も死から遠いところで生きているのは、死にたいと思っている奴だ。
望むと遠ざかる死の影、それ自体が恐いのではなくて、それが完全に自分を連れ去ってくれない時が恐いのだ。
毎晩発狂して、その度に体に痣を付けて、手首を刻んで、薬を用量以上飲んでみる。
それが私の日常で、それくらいじゃ死ねないことも分かっている。
だけど恐いのだ。
身辺を綺麗にしたいけど、生き残ってしまった後、自分の生きてきた痕跡がなくなるのが恐い。
確実に死ぬ。
それが出来たら私はとっくに楽になっているのに。
確実に死ぬ。
確実に死ぬ。
心はもう死んでいるのだから。
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