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わたしの愛しい

「僕が望んだのはそんなことではない」
彼はそうきっぱりとわたしの申し出を断りました。
自分はそれほど愚かではないという主張と同時に、わたしの決断を真っ向から否定したのです。
わたしが傷ついたのは言うまでもありませんが、しかしそれよりも彼の強い意思に深く感動させられていました。
彼はいつだってわたしの後を着いてきました。わたしの指導、言い付けに忠実に従ってくれました。
わたしがそれを喜ばしいことと判断するのは、それが自分にとって都合よく、また心地のいいことだったからです。
しかし本に彼のことを憂うわたしならば、少なからずその所動的、器械的な彼の態度を危惧していたのです。
あるいは、彼はわたしの他に新たな指導者を見つけただけなのかもしれません。
それでも彼がわたしに、このようにはっきりと自分の意思を見せつけるのは初めてでしたから、ただそれを尊重してあげたい、そう思うのはごく自然で、致し方ないことでした。
しかしそれを簡単に正しいことと結びつけてしまえるほどに、わたしはまだ幼すぎました。
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