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少女A(※グロ注意)

「アンタは強い子だね」

幼い頃から毎日のように言われ続けた言葉。
『強い』の意味なんて知らないままに
わたしはそれを受け入れた。
強くなくてはならないと、心が教えた。
それが自分の存在理由なのだと言い聞かせて。

わたしは決して泣かない子供だった。
それ故さらに『強さ』をまわりから求められた。

やがて涙を知らない幼い子供を、誰も「強いね」とは言わなくなった。
ただ彼らの目は、何か訝しいものを見るような、禍々しいものを見るような
わたしは彼らの瞳の中で、災厄に変わっていった。
だけどわたしには、その変化の意味がどうしたって理解できなかった。
「強い子になったでしょう?わたしは、『強い』んでしょう?」
そうやって泣きそうになりながら、彼らの瞳の中ではわたしはきっと笑ってた。


いつか父が母を殺した。
理由は知らない。
ただなんとなく、自分のせいだという事は思い知った。
わたしの目の前で、父は母を殴り殺した。
小さい痙攣を、弱々しい伸縮を繰り返して、母は死んだ。

葬式の間でも、わたしは泣かなかった。
そうしたらまた「強いね」って言って貰える
そう信じていたのに。
彼らは、わたしを憎しみの目で睨み付けてこう言った。
「薄情な子!自分の母親が殺されたというのに涙ひとつ流さないなんて。あの子のせいで彼女は死んだのに……!」
そう、赤くなった目頭を薄いハンカチで何度も押さえては嗚咽まじりの言葉を吐いて
気が済んだらそれぞれ思い思いの安らぎを求めて散らばった。

「『はくじょう』って何?わたしは『強い』子じゃあないの?
強い子よ。
そうじゃないならわたしは何の為に生きてきたの?
みんなが強くなれって、応援してくれたよ。
ねえわからない、
どうしたら強い子?みんなが誉めてくれるの?」

「私の子だもの。強いに決まっているわ」
母はよく、わたしの事をこんなふうに自慢していた。
私の子だものって。

「ママは強い子だったの?
じゃあママを倒しちゃったパパはもっと強いのね。
それじゃあわたしがパパを倒すわ。
そうしたらみんなはまた、わたしを誉めてくれるでしょう?」

父を殺した。
包丁で腹を抉って。手を突っ込んで、いろいろなものを引っ張って
気付いたらわたしは父の海にいて
その赤黒い物体は 母と同じように、弱々しく痙攣していた。

誰も誉めてくれなかった。
恐ろしいモノを見るような目でわたしを見て
わたしは我慢できなかったんだ。
そう気付いたら、そこにいた全てを赤黒い海に変えて
いつの間にか独りになっていて
誰かがわたしに気づいてくれるのをただひたすら待った。

ねえ、誰がわたしを責められるというの。
わたしは被害者よ。
母を殺し、父を殺し、厄に群がる何人もを殺した、わたしは被害者よ。
なぜ殺したって?今の話じゃわからなかった?
じゃあ彼らに聞いてよ。
どうして一番弱い生き物に、強さを求めたの?
誉めてよ誉めて
みんなの望むようにしたでしょう?

あ、言い忘れたことがあるの。
これはテープに残さないでね。
たった一言なの。
そう、あなたに。

「わたしに気づいてくれてどうもありがとう」
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コメレス

>メグさま
覗きに来てくださってありがとうございます!
生ぬるいPJしか書けませんが頑張ります。
他のも読んでいただいたようで、恐縮です!
自分の思う綺麗を詰め合わせたいです。
少しでも綺麗に見えたら嬉しいです。
コメントありがとうございました!
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