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墜ちた天使

友達がいたの。
誰も彼女を人間だとは思っていなかった。
彼女は天使のふりをしていたの。
いつも笑顔で楽しそうで可愛くて、彼女を見ているだけでわたしたちは幸せになるのよ。
わたしが落ち込んでいて、それでも少し元気を取り戻した時
わたしは人間のふりをしたままで彼女にそう言ったの。
落ち込んでいたけど元気になったよ。
彼女はまるで何も考えていないような晴れやかな笑顔で
あなたが元気になってくれてわたしは幸せって言った。
だけど彼女は本当は普通の人間なの。
羽根が生えただけの人間なの。
彼女は自分がそのようであることもわきまえていたし、辛さを喜びに変える魔法を持っているわけでもなかった。
彼女の、中途半端な人間味がわたしは凄く嫌いだった。
凄く嫌いだった。
だけど好きなのよ。
彼女の笑顔が、元気な声が、ふわふわの髪の毛が。
最近ね、でもわたしにはもう
羽根さえ見えなくなってしまった。
彼女はそれに気付くと
もう見えもしない羽根を自分で引きちぎって死んだの。
今でも思い出すわ。
彼女の天使のような心。
その中に潜む人間臭い心。
そうだとわかっていてもわたしは彼女に救われた。
それは素敵なことだったと思うのよ。
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