スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

小学生日記7

わたしはまた彼女に会った。
もう二度と会わないだろうと思った女に。
あの夏の復讐に、またあの地下鉄に乗った。
ねえ、と声をかけてきたのは彼女の方だった。
見上げると、相変わらずスカートの裾を膝下にそろえた女がいた。
あなた可愛いからすぐにわかったわ、と彼女は言った。
わたしはもうそんな言葉で舞い上がったりしない。
季節が変わっても彼女はこの街には場違いに見えた。
このわたしよりも。
どうしてここに来るの?と尋ねると、彼女は頬を染めて
彼がね、ここに住んでいるの、と言った。
衝撃だった。
彼。
男。
ダサくて、この街に不似合いだった女が、急に大人に見えた。
彼がいるというだけで。
わたしは羨望の眼差しで彼女を見上げた。
また会える?彼も一緒に。
わたしが言うと、彼女は笑った。
冴えない女さえたちまちに魅力的にさせてしまう
男という存在を知った六年生の秋。
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ