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小学生日記4

外に出るわたしの手は、もうママと繋がっていなかった。
わたしは一人で繁華街を歩いた。
渋谷も行ったし、六本木も行ったし、代官山だって行った。
わたしの目には、それらはわたしの一部のように見えたし、
そしてわたし自身も、その一部になって、
わたしはすぐにそこに馴染んで、溶け込むことができた。
クラスメイトの誰も知らない事を、きらびやかな街の活気を、わたしは知っていた。
皆がわたしを振り返り、振り返っては見つめた。
でも誰も、ママがいたころのようには話しかけてこなくなって
毎日のようにかけられていた言葉は、突然人々に忘れられてしまったようで
それでもそんなことが気にならないくらいに、わたしはわたしを見せびらかした。
ただ一人のわたしを、わたしのままに見られることに悦び、躍起になった五年生の秋。
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