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重力(※PJ)

好き好き好き好き。
俺の愛する魅惑のロートーンボイスが俺の名前を繰り返す、その名前と名前の間に好きと言って、それが壊れたカセットテープのようにいつまでも止まない。
ごめんねごめんごめんねごめん。
俺の嫌いな微妙なハイトーンボイスが彼の名前を繰り返す、その名前と名前の間にごめんねと言って、だけどそれは突然キスで止められた。
彼が俺にすがればすがる程、愛憎相半ばする俺のこの想いは、どうしても彼にとっては認めてはならないものだった。
一方的なキスを押し付けながら、彼が無理やり俺の肌を晒していく。
愛の言葉と、それを拒否する言葉が入り交じった情事は、これで何回目だろうか、いつも繰り返してしまうのは、これが何より気持ちいいからだった。
好き。
彼が最後に呟いた。
それまでもう耳を塞ぎたくなる程聞かされた言葉を、彼は落とすように俺の体に注いだ。
俺は最低だった。
だから言った。
言ったでしょう、俺を殺して。
彼はうん、と頷いた。
首には温度、後重力。
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