スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

チムチョムの呪い

深夜零時、チャイムが鳴った。
誰かは分かっていたのでインターホンを確認せずにドアを開けた。
半ば予想通り、彼がにこにことご機嫌な様子でそこに立っていた。予想と違ったのは、彼ったら珍しくお酒臭かったこと。
どこ行っていたの、こんな遅くまで。
会合に行ってきた、と彼は言った。
何の会合?とわたしが聞くと、カラスだよ、と彼はしれっと言った。
カラス?とわたしは意味がわからなかったのでそれだけ繰り返した。カラスって、あの?鳥の?
そうだよ、と彼は不思議そうな顔をした。あれ、知らなかったっけ?
知らないって、何が?
僕、カラスなんだよ、と言って彼はシャツを脱いだ。
なるほど、その背中にはカラスの羽根が生えていた。
へえ、それは知らなかったわ、とわたしは言った。チムチョムの呪いね。
そう、あの魔女、よりによってカラスにするから、おちおち屋根にとまってもいられない。子供に石投げられるんだぜ。
それは可哀想。お互い嫌われるのね。
お互い?
あれ、知らなかった?わたしは笑った。歯の隙間から二股に別れた舌をちら、と出して。わたしはヘビなの。
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ