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手首をしたたる涙は赤く
とても夜明けまでもたないだろう――
彼女はそう言って、透明な涙をその大きな目から溢した。
わたしはその様子を黙って眺めていた。
何か言いたかったし、言ってやれることだってあるつもりだったのに、黙ってろとは彼女の言葉だった。
黙って見てろと言って、彼女は手首を泣かせた。
それは激しい泣き方で、わたしは思わず手を伸ばしたが、ある程度予測通り、その手は振り払われた。
触るな、という言葉で。
なんということだろう。
わたしは彼女に触ることすらできない程に、綺麗、だった。
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