hanahami*

2024.4.9 Tue 20:21 :番外編:四季学警備委員の日常
開始前:一年五席 天崎疾風の熱量

「ふふ、ふふふふふふ……」
ああダメだ。たぶん、いや絶対ボクは今、相当変な顔してる。休み時間になるたびに、今朝貰った任命書を眺めているんだ。傍から見たらおかしな人だよなって、自覚くらいある。それでも、笑いが止められない。

「一年五席、天崎疾風。貴殿の実力を認め、警備委員会に任命する」

任期は垂穂月の終わりまで。半期ごとに入れ替えがあるらしいけど、五席以内をキープして、後期も絶対委員会に残ってやる。だって、鷹峰様がいらっしゃるんだ!

鷹峰悠様。八歳で地区大会に出場して以降快進撃を続け、十三歳にして全国大会五連覇を果たして殿堂入り。その勢いは留まるところを知らず、世界大会でも優勝、優勝、優勝。まさに雲の上の御方だ。付いた二つ名は「天空の覇者」。その比類なき強さと圧倒的なカリスマオーラ、「東域の薔薇」と称される御母上譲りの美貌は世界中の人々を魅了し、愛の日には輸送機や貨物船が鷹峰様への贈り物で埋め尽くされ、配送車が大渋滞を引き起こして交通網が麻痺したほど。
うん、まあ、気持ちは分かるよ。あんなに素晴らしい御方がいるんだもんね。鷹峰様が「家族や友人以外からのものは破棄する」って宣言されてからは、少なくなったみたいだけど。……ああ、毅然とした態度もカッコいい。
とにかく、そんな奇跡のような存在の鷹峰様と同じ学校にいられるだけじゃなく、同じ委員会に所属できるなんて、本当に夢みたいだ。
次の授業が終われば、いよいよ初の委員会。三年首席が委員長を務めるのが伝統だから、鷹峰様の指揮のもと、話し合いなりなんなりが進んでいくのだろう。
ああ、待ち遠しい。授業の始まりを告げるチャイムに、あと一時間、と気合いを入れた。もちろん、任命書は大事に大事にファイルに仕舞っておいたよ!




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