話題:恋愛



あの日貴女に会えたことが今でも夢のような感覚です。
あてのないドライブの途中にくれた笑顔、繋いだ指。

話せば自然と溢れる笑顔は頬が痛くなってから気付いた。
ドライブの目的地は夜景の見える場所。
その道中に交わした口づけ。
目的地に着いた時は夜景よりも貴女が美しかった。
二人の口づけは深くなり、気が付けば誰もいない部屋にいた。
二人の口づけは飽きることなく続き、その中でお互いの身体を求め合う。
真冬の凍てつく寒さを忘れ、裸で重なる二人に伝わるぬくもり。
その温度は上がり続け、やがて燃え上がり溶けてゆく。
腕の中で眠る貴女も美しかった。
途中で流した涙は凍てつく空気より冷たかった。

二人はまた会う約束をして離れた。

現実に戻った二人を待っていたのは簡単には壊せない壁。
ガラスのように透き通る壁は文字を写せても声は届かない。
伝わらない想いはやがてぶつかり合い、互いに背を向け離れた。
遠くからその壁を見つめ、残された文字に後悔と伝えきれなかった気持ちにため息をつく。
貴女は今何を考えていますか。
もう求めてはくれないのですか。

離れた後に残された気持ちはその壁まで足を運ぶ。
誰もいない向こう側に目を細めて探すも貴女の姿はない。
俯き離れては探し、自分に残されたあの時の記憶とぬくもりは気付けば涙となり痛みのない頬を伝って足元に溜まった。

願いが叶うならもう一度会いたい。
ただそれだけが自分の中で廻る。