大観園の記録
◇深い森の奥
2023/01/24 08:17
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奥多摩の狛犬は狼が多い。大岳山、御嶽山、七ツ石山と神使は狼だ。さらに一歩進んで秩父に至れば妙法ヶ岳、狼で有名な三峰神社がある。

鴨沢から七ツ石山を経て雲取山に至る道はなだらかで歩き易く、石尾根は防火帯の切り払いで眺望が開け、とても気分良く尾根歩きが出来る。私は下戸だが適当なところに腰掛けてビールでもやりながら昼寝でもしたら最高だと思う。

対して雲取山から三峰神社に至る道は起伏に富み、悪場もある。大ダワから白岩山へ抜ける芋ノ木ドッケの巻道は北斜面のトラバースだが、斜度がきつく、道幅も狭く、冬になれば凍結し、何人か滑落して亡くなっている。
芋ノ木ドッケ自体も道は薄く、山頂に至るまでのつづら折れは消えかかっており、斜度もきつい。木を掴みつつ登るにしてもまばらで、ストックを短く持って石突をしっかり刺さないと厳しい。山頂から白岩山方面は道はないと思った方がいい。
また、妙法ヶ岳も霧藻ヶ峰側から向かうと、道は薄く、参道に合流する手前は落ち葉の積もった幅の狭い下りで、これも悪場だ。三峰側は石尾根と比べると修行の道と言った感じがする。

さて、狼である。20世紀初頭に絶滅したはずだが、紀伊、秩父のあたりではいまだに目撃情報があり、それらしき「秩父野犬」と言う写真も撮られていたりする。
私も奥多摩と隣接する奥武蔵の山域でその遠吠えかもしれないものを聞いた。もちろん山間部であるから猟犬や野犬の類いかもしれないが、2匹の犬と暮らして来た私には、それが犬の遠吠えとは到底思えなかった。輪唱のように代わりがわりに喉笛を鳴らすそれは、身震いするほど美しかった。深い森の奥で彼らが連綿と生きながらえていたらと思うと心が躍った。

と言うことで、今年は長沢背稜と奥武蔵の破線ルート中心に山行を重ねようと思う。

*new past#


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